菅義偉首相が退任

2021年9月3日、菅義偉首相は首相官邸で自民党の総裁選に出馬しないことを表明しました。これによって9月末に自民党総裁としての任期を満了し、総理大臣を退任することになります。菅首相は2020年9月16日に第99代内閣総理大臣として指名され、約1年で辞任することになりました。

菅首相のもと、昨年後半から新型コロナウイルスの感染対策がとられてきましたが、感染は拡大していき、収束する様子をみせません。

このような状況で、国や自治体が緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴って行った施策は、飲食店の時短営業と酒類提供の禁止が中心でした。

飲食店は激しく疲弊していき、帝国データバンクによれば、新型コロナウイルス関連による倒産では、全2000件のうち336件と飲食店が業種別で最多となっています。

時短営業と酒類提供の禁止に対して、飲食店に協力金が支給されていますが、支給の遅延も飲食業界を苦しめている大きな要因。

以前に、協力金の早期支給、つまり、協力金の先払いが単なるパフォーマンスではないかという記事を書きました。その時から支給は遅延していましたが、今ではどのような状況になっているのか、考察していきます。

東京都における協力金の支給状況について

東京都における協力金の支給状況について確認していきましょう。

以下は、8月31日時点でのデータをもとにしています。

緊急事態宣言の期間中における3月8日から3月31日実施分については、事業者数74,600の99%、店舗数104,500の99%が処理を完了し、支給額は1,234億円。申請受付期間は4月30日から5月31日。

緊急事態宣言の期間中における4月1日から4月11日実施分については、事業者数70,200の98%、店舗数97,400の92%が処理を完了し、支給額が385億円。申請受付期間は5月31日から6月30日。

緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の期間中における4月12日から5月11日実施分については、事業者数70,300の89%、店舗数94,800の74%が処理を完了し、支給額が944億円。申請受付期間は6月30日から7月30日が、延長されて8月20日まで。

緊急事態宣言の期間中における5月12日から5月31日実施分については、事業者数70,800の73%、店舗数98,500の59%が処理を完了し、支給額は343億円。申請受付期間は7月26日から8月31日。

緊急事態宣言の期間中における6月1日から6月20日実施分については、事業者数69,500の70%、店舗数96,800の57%が処理を完了し、支給額が368億円。申請受付期間は7月26日から8月31日。

まん延防止等重点措置の期間中における6月21日から7月11日実施分については、現在も申請受付中です。申請受付期間は8月18日から9月17日。

緊急事態宣言の期間中における7月12日から8月31日実施分の本申請受付期間については、9月15日から10月15日。早期支給分は7月12日から8月22日実施分が対象となります。

緊急事態宣言の期間中における9月1日から9月12日実施分については、申請受付期間が未定。

緊急事態宣言は9月12日が期限となっていますが、新規感染者数や国や自治体の反応をみていると、解除されることはまずないでしょう。

協力金の支給状況に関する補足

協力金の支給状況に関して、いくつか補足があります。

処理の完了とは、対象外を含む書類審査の完了を意味しており、その後ほぼ1週間で協力金が支給される予定です。

緊急事態宣言とまん延防止等重点措置とでは協力金の金額に違いがあり、前者の方が多額。申請は事業者単位で行われますが、全ての店舗に共通する申請者情報の他に、店舗ごとの書類も必要となっています。

協力金の支給完了分を比較

協力金の支給状況については色々な見方がありますが、ここではほぼ完了している実施分について進捗をみていきましょう。

以前の記事では8月5日時点でのデータをもとにしました。その時点では、ほぼ100%近く処理が完了していたのが、3月8日から3月31日実施分についてであり、事業者数74,600の98%、店舗数104,500の97%の処理が完了。

今回は8月31日時点でのデータをもとにしており、ほぼ100%近く処理が完了しているのが、4月1日から4月11日実施分についてであり、事業者数70,200の98%、店舗数97,400の92%が処理を完了しています。

8月5日時点では3月31日までの実施分がほぼ完了していますが、8月31日時点では4月11日までの実施分がほぼ完了。前者では約4ヶ月前までの実施分が処理完了していますが、後者では約4.5ヶ月前までの実施分が処理を完了しています。

協力金の支給は、実施分の区分によって差はあるものの、飲食店からすればややペースダウンしているように感じられるでしょう。

早期支給分は影響したのか

前回の記事でも早期支給分の是非について問いましたが、早期支給は本当に飲食店の役に立ったのでしょうか。

これを検証するために、1事業者あたりの平均処理日数を検証してみます。

1事業者あたりの平均処理日数は、1月8日から2月7日実施分の24.8日から、4月1日から4月11日実施分の6.0日へとだいぶ改善されていましたが、4月12日から5月11日実施分の12.3日へとペースダウンしました。

4月1日から4月11日実施分の申請受付期間は5月31日から6月30日であり、4月12日から5月11日実施分の申請受付期間は6月30日から7月30日。

早期支給分の申請受付期間は7月19日から8月6日だったので、前者の実施分では申請受付期間が重なりませんが、後者の実施分では申請受付期間が重なっていることがわかります。

前者と後者で2倍もの処理日数の差が現れているのは、早期支給にリソースを割いていたからではないでしょうか。そうでなければ、協力金の支給が遅いと批判され、処理速度をペースアップしてきたにもかかわらず、急に処理速度が半減する理由が見つかりません。

早期支給のために、通常の支給分がペースダウンしたのであれば、以前の記事でも指摘したように、早期支給は飲食業界に対してガス抜きをするためだけの意味のないパフォーマンスだったのではないでしょうか。

協力金の支給をより迅速に

ここまで考察してきたように、飲食店への協力金の支給は、早くなっているようには感じられません。飲食業界に全く瑕疵がないにもかかわらず、飲食店に協力金が支給されることに対して妬みの声が聞かれることもあります。

しかし実際のところでは、協力金が全く足りないことがあったり、支給までに4ヶ月以上も要したりと、嫉妬されるほどよい境遇に置かれているようには思えません。

国や自治体には、パフォーマンスに固執することなく、根本的に協力金の支給を早めていくことを考えていただきたいです。