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Instagramの飲食店予約は成功するのか?ユーザーと飲食店それぞれの事情

東龍グルメジャーナリスト

Instagramで飲食店予約

先日、ITproBloomberg Technologyから引用した記事で、Instagarmがビジネスプロフィールから予約ボタンをタップして美容院や飲食店を予約できる機能を2~3ヶ月後に提供する予定だと報じました。

飲食店の予約といえば、世界的に勢いのあるyelpは日本で苦戦しており、<業界初となる「トレタお見舞い金サービス」はノーショーに対して意味があるのか?>でも紹介したトレタのような予約台帳サービスと提携した食べログやぐるなび、Rettyなど日本のサービスが力を持っています。既にサービスはクローズしてしまいましたが、<「LINE グルメ予約」が全てを食べ尽くす>ではLINEの参入を紹介しました。

ここでInstagraも飲食店の予約に参入したら、成功するのでしょうか。

日本におけるInstagramの状況を参考にしながら、考えてみます。

日本でのInstagramユーザーの特徴

日本におけるInstagramのユーザーには以下の特徴があります。

  • 知っているけれど見たことはない!? Instagram認知率は80%だが、アカウント保有率は20%。
  • 若い女性の3人に1人は使っている!10代女性の36%、20代女性の34%がInstagramユーザー。
  • 今や、Instagramは情報検索手段の一つ!?10代女性は33%がInstagramを情報検索に利用。

出典:ホノテ

10代と20代の女性が特に使っているという結果になっています。これは比較的、実際に感じている印象と同じではないでしょうか。

また他のSNSとの比較では以下の通りとなっています。

  • 【 趣味 】

「国内旅行」「ショッピング」「グルメ」「海外旅行」を趣味に持つ

  • 【 興味・関心 】

「ファッション」「雑貨・インテリア」「外食・グルメ」「美容」への興味関心が高い

  • 【 消費価値観 】

「良いと思ったものは、思わず他人にも勧めたくなってしまう」55%(全体平均42%)

  • 【 パーソナリティ価値観 】

「自分は熱しやすく冷めやすいタイプだと思う」56%(全体平均44%)

「流行やトレンドに敏感な方だ」43%(全体平均23%)

出典:ホノテ

Instagramのユーザはグルメに興味があり、自分でよいと思ったものを他の人にも勧める傾向はあります。流行には敏いですが、すぐに関心が移ることが述べられています。

Instagramと食

Instagramと食の関係については以下の調査結果があります。

  • おいしい店・料理を忘れないための記録として 62.21%(Instagram)
  • 外食する店やメニューを決める際に「写真映え」を意識する32.1%(SNS全体)

出典:リクルートライフスタイル

おいしい店や料理とInstagramは関係性が深く、さらには、店やメニューを決める要因としてよい写真が撮れそうなものを食べたいという結果になっていることが分かります。

購入意欲

では、実際に消費活動へつながっているのでしょうか。

  • 48.5%が「企業やブランド、ショップなどの公式アカウントをフォロー」
  • フォローしている人の30.3%が、企業などの投稿を見て「購入経験あり」

出典:BWRITE

半分もの人が企業の公式アカウントをフォローしており、そこから投稿された写真に促されて商品を購入したとあります。

思ったよりもユーザーは商品に関心があり、消費が刺激されていることを意味しているのではないでしょうか。

それぞれの事情

以上のことを踏まえた上で、日本におけるInstagramの飲食店予約を、ユーザーと飲食店それぞれの事情を鑑みてみます。

ユーザーの事情

Instagramのメインユーザーは10代~20代と若いです。20代であればある程度はお金を持っていてレストランにも興味があって予約するかもしれませんが、10代ではどうでしょうか。

飲食店の予約となると、やはり30代や40代が最も多いだけに、この層がInstagramで情報を収集するようにならないと効果が薄いかも知れません。

また、Instagramのメインユーザーは若い女性なので、パンケーキやカフェのようなカジュアルな飲食店が興味の中心ではないでしょうか。

そういった飲食店であれば、ユーザーが積極的に予約する動機を持てないようにように感じます。何故ならば、カジュアルな飲食店は単価が低く、日常使いするので、事前に計画して訪れるというよりも、直前に決めてふらりと訪れるものだからです。

飲食店の事情

カジュアルな飲食店、それも行列ができるような人気店であればあるほど、予約した客を入れるよりも、すぐに入れられるウォークイン(予約していないで入店すること)の客を入れた方が効率的なので、Instagramから予約できるようになったとしてもそれほど大きな効果はなさそうです。

予約を必要とする飲食店はそれなりに単価の高いファインダイニングであり、カフェや大衆的なダイニング、ファストフードではありません。何故ならば、単価も高く、記念日などに利用するものなので、前もって準備するからです。

冒頭で説明したように、予約機能を使えるのはビジネスプロフィールを使用している場合に限ります。ビジネスプロフィールを使用するにはFacebookページと連携する必要がありますが、今の時代、Facebookページを開設しているファインダイニングは多いので、大きな障壁にはならないでしょう。

しかし、それにも関わらず、日本においては、Instagramでビジネスプロフィールを使って積極的に展開しているファインダイニングがあまり見当たりません。

予約が必要とされる飲食店で、Instagramのビジネス利用があまりなされていないだけに、飲食店予約の機能もあまり利用されないのではないでしょうか。

Instagramの力

食べログやぐるなび、Rettyでは、ユーザーは明らかに飲食店を探しているので、気に入った店があれば、そのままオンラインで予約するというのは自然な流れです。

Instagramで最初から飲食店を探していたのならまだしも、何となくタイムラインに流れたおいしそうなものを見ただけで、飲食店を予約するのは難しいように感じます。

日本では、美容院へ行くために予約することは当然となっていますが、飲食店へ訪れるために予約することは当然と言えません。

Instagramはユーザーに飲食店へ訪れたいと動機付けした上に予約まで至らせることはできるのでしょうか。

あまりポジティブな考察結果にはなりませんでしたが、飲食店の予約がもっと活性化すればよいと普段から願っているだけに、Instagramがユーザーの予約を喚起するだけの力を持っていることを期待したいです。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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