トランプ大統領も安倍総理も強弁と嘘は不幸を招くことを知るべし

フーテン老人世直し録(492)

如月某日

 トランプ大統領は、上院の弾劾裁判で無罪の評決を受けたことから、下院の弾劾調査公聴会で証言したゴードン・ソンドランド駐EU大使と国家安全保障会議のアレクサンダー・ビンデマン陸軍中佐を解任した。自分に不利な証言を行ったことに対する報復である。

 ソンドランド氏はホテル経営者で、トランプ大統領に多額の献金を行った見返りとして駐EU大使になった。昨年11月の下院公聴会では、トランプ大統領の指示で大統領の顧問弁護士であるジュリアーニ氏と連携し、ウクライナ側にバイデン氏の息子のスキャンダル調査で圧力をかけたことを証言した。

 ビンデマン陸軍中佐はウクライナ生まれで、40年前に家族と米国に移住し、軍人としてイラク戦争に従軍した経歴を持つ。国家安全保障会議のウクライナ担当だった。トランプ大統領とゼレンスキー大統領の電話会談を直接聞く立場にあり、トランプ大統領が政敵であるバイデン氏の捜査を行うよう要請したことに衝撃を受けたと証言した。

 2人とも「エスコート・アウト」と言って、見せしめ的に追い出される形の解任である。勇気ある証言をした人物が報復人事を受けたことで、米国民の中に同情の声が出てくる可能性がある。

 また裁判で共和党から唯一有罪に賛成投票したミット・ロムニー上院議員に、大統領と共和党内からは怒りの声が上がり、党を離党すべきと批判が高まっているが、こちらにも「批判を恐れず、自分の良心に従った」ことを評価する声がある。共和党幹部も離党させるべきではないと考えているようだ。

 無罪評決が出ても国論は二分されているが、しかしトランプは無罪評決を勢いに大統領選挙に弾みをつけるため、自分に歯向かう者には容赦なく報復する姿勢を取らざるを得ない。フーテンはそれが大統領選挙を有利にすることになるのか疑問である。

 上院の裁判は、検察側と弁護側がそれぞれ冒頭陳述を行っただけで、証拠調べも証人尋問も行わず採決だけが行われた。それが果たしてまともな裁判と言えるのか。そのことには保守派内にも疑問の声がある。大統領の介入で議会が健全に機能しなかったというのだ。

 だが「ロシア疑惑」や「ウクライナ疑惑」を根も葉もない陰謀と強弁してきたトランプは、疑惑の存在を認める者を許すわけにいかない。報復しなければ主張の正当性に傷がつく。トランプは強い姿勢を取り続けるしかない。

 一方で民主党から証人要請されていたボルトン前補佐官の暴露本は、疑惑を肯定する内容と言われる。それがいつ発売されるのか、されないのか。それも含めて弾劾無罪の評決が出ても疑惑は消滅しておらず、トランプが青天白日の身になった訳ではない。いわば「灰色候補」として選挙を戦うことになる。

 「魔女狩りだ」と言って一切の疑惑を否定してきたトランプは、一切の情報を力で封じ込めざるを得ず、そのため少しでも情報を明らかにした者に対し、政権や政党から排除する行動に出るしかない。それが自らの不幸を招くことになってもそうせざるを得ない。

 これと瓜二つのことが日本でも起きている。「桜を見る会」を巡る「決して非を認めない」安倍総理の強弁は、「非を認めない」がゆえに次第に深みに嵌っていくようにフーテンには思える。

 今朝の東京新聞は、「こちら特報部」が安倍総理の国会答弁のほころびを特集し「深まる3つの疑問」を取り上げた。一つは昨年4月の「前夜祭」を「政治資金収支報告書に記載していないのは、ホテルニューオータニと参加者が一人一人個別に契約していたから」と5日の委員会で安倍総理は答弁した。

 これはホテルと安倍晋三事務所が契約していたという以前の答弁を修正したものである。以前の場合、予定の人数がその通りであれば、パーティ料金に不足は生じないが、キャンセルがあった場合、ホテルは予定より安い料金で飲食を提供することになり、損失が発生する。

 それでも構わないとホテルが考えたとすると、安倍事務所は利益供与を受けたことになる。その一方で損失をカバーできる利益を安倍事務所からホテルが別の機会に受けていた可能性も考えられる。フーテンの頭には新天皇の即位の礼の晩餐会をニューオータニが受注できた話がちらつくが、ともかく答弁は修正され「一人一人」が契約の主体になった。

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「フーテン老人は定職を持たず、組織に縛られない自由人。しかし社会の裏表を取材した長い経験があります。世の中には支配する者とされる者とがおり、支配の手段は情報操作による世論誘導です。権力を取材すればするほどメディアは情報操作に操られ、メディアには日々洗脳情報が流れます。その嘘を見抜いてみんなでこの国を学び直す。そこから世直しが始まる。それがフーテン老人の願いで、これはその実録ドキュメントです」

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1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。89年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■「田中塾のお知らせ」7月7日(火)19時~21時 ■場所:KoNA水道橋会議室 東京都千代田区神田三崎町2-9-5 水道橋TJビル202 JR水道橋駅東口 徒歩2分 (https://goo.gl/6RvH93 )■参加費:1500円 ■申込先:http://bit.ly/129Kwbp

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