10月22日に安倍総理を辞めさせるシナリオその2

フーテン老人世直し録(329)

神無月某日

 「希望の党」が仕掛けた現在の政局は、権力を私物化する「安倍一強政治」を終わらせることに目的はある。それを直ちに実現するには民進党を現実主義とリベラルの二つの勢力に分ける必要があった。

 安保法制の強行採決に反対する4野党共闘は間違いではない。しかし安倍総理が延命のために仕掛けた総選挙を倒閣のチャンスにするには、安倍政権に代わる新政権が直ちに安保法制廃止を決定する訳にいかない。それをすれば北朝鮮情勢が緊迫する中で日米関係は混乱し政権交代は失敗する。

 そのため安保法制廃止ではなく「集団的自衛権の限定的容認」の「限定」を強く主張できる体制を作る必要があった。対米従属一辺倒の安倍政権では米国の言いなりになるだけだが、「安倍一強」を解体すれば、安保法制に反対のリベラル勢力と新政権とがかつての自民党と社会党のように水面下で手を組み「限定」を主張することが可能となる。

 そのため民進党を安保法制に柔軟な勢力と共産党や社民党と連携する勢力に分け、政権に参画する議員と政権に反対を唱え続ける議員に「選別」するのが「安倍一強」を終わらせるシナリオの第一段階だった。

 安倍総理が勝てるはずと思って仕掛けた解散・総選挙はそのシナリオによって打ち砕かれたと思う。安倍総理は総選挙の勝敗ラインを過半数としたが、民進党の多くが「希望の党」に入党したことで、過半数は難しくなったというのが大方の見方である。ただし「安倍一強」を終わらせるにはそれだけで十分ではない。第二、第三のシナリオも必要になる。

 小池百合子氏が選挙に出馬し全国を駆け回れば自公は過半数割れが確実視される。しかしそれでも自民党は比較第一党の座を確保する可能性がある。「希望の党」が単独で過半数を制しなければ自動的に小池総理誕生にならない。

 自民党が初めて野党に転落した1993年の総選挙で自民党は過半数を失ったがそれでも比較第一党であった。宮沢政権はどこかの政党と連立して過半数を得れば政権を維持することが出来た。ところが新生党の小沢一郎氏が自民党より先に8党派をまとめ上げ、日本新党の細川護熙氏を総理に担いだことで自民党は野党に転落した。

 あの政権交代は選挙の結果ではなく小沢氏の政治力が自民党を上回った結果なのである。今回も「希望の党」は野党第一党にはなるだろうが単独で過半数を超えたり比較第一党になるのは難しいと思う。従って小池氏がすぐに総理になれるわけではない。

 「希望の党」が安倍総理と盟友関係だった「日本のこころ」の中山恭子氏や「日本維新の会」の松井一郎知事と連携し、あるいは公明党の候補者がいる選挙区すべてに候補を立てず、国会の首班指名でも「山口那津男氏の名前を書く」と小池氏が発言したのも、従来の保守支持層を取り込む狙いがあるのと同時に単独過半数は難しいと思っているからではないか。

 勿論、自民党が過半数割れすれば安倍総理は責任を取らなければならない。しかし安倍総理は07年の参議院選挙で惨敗したにもかかわらず総理の座に居座ろうとした人物である。何をやりだすか分からないところがある。

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「フーテン老人は定職を持たず、組織に縛られない自由人。しかし社会の裏表を取材した長い経験があります。世の中には支配する者とされる者とがおり、支配の手段は情報操作による世論誘導です。権力を取材すればするほどメディアは情報操作に操られ、メディアには日々洗脳情報が流れます。その嘘を見抜いてみんなでこの国を学び直す。そこから世直しが始まる。それがフーテン老人の願いで、これはその実録ドキュメントです」

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1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。89年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■「田中塾のお知らせ」10月31日(火)19時~21時 場所:スター貸会議室 東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml■参加費:1500円 ■申込先:http://bit.ly/129Kwbp