石原さとみ『Destiny』大学キャンパスの30代集団の違和感 ベタなインパクトは後へつながるフリか
石原さとみの3年ぶり連続ドラマ復帰で注目される『Destiny』(テレビ朝日系)の第1話が放送された。20年の時をかけるサスペンス・ラブストーリーを謳う本作だが、初回は物語の“現在”から12年前となる、2010年の主人公たちの大学生時代のエピソードがメインになった。
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冒頭で描かれたのは、長野の大学のキャンパスではしゃぐ大学生の西村奏(石原さとみ)、野木真樹(亀梨和也)、森知美(宮澤エマ)、及川カオリ(田中みな実)の4人の姿。当時の大学生らしい(?)、軽いノリではしゃぐ真樹とカオリの様子に、いかにもドラマっぽいケレン味を感じてしまう。
また、自然に囲まれた大学のキャンパスという若者たちの場にいる彼らは、無邪気な30代のグループという違和感がすごい。そこから現在と当時がカットバックはするが、第1話のほとんどは彼らがそのまま演じた大学生時代のエピソードだった。
ラストの現在パートから別の世界観の物語がはじまった
そこで起こるのは、絵に描いたような真樹と奏、カオリの三角関係。嫉妬に狂うカオリのシーンには懐かしい既視感があった。さらに、劇伴も昔ながらのサスペンスを思わせる、おどろおどろしいサウンド。まさにオールドスタイルの王道ミステリーテレビドラマという予定調和の物語になっていた。
しかし、ラストでそれまでのテイストが一転した。「12年後」というテロップが流れ現在パートに移ると、それまでと映像の温度感が変わる。ナチュラルな色合いの世界観のなかで、椎名林檎の主題歌「人間として」のミュージカル調の静かにはじまる力強い歌声が流れると、それまでとは別の世界の物語がはじまった。
第1話が終わってみると、大学生時代の映像のテイストは、壮大な物語へと発展していく現在へのフリだったことが感じられる。ラストで奏は、恋人の奥田貴志(安藤政信)から「話したいことがある」と振られるが、ここから現在の物語が新たにはじまる。
大学時代のベタなエピソードのインパクトは、ドラマ継続視聴への強いフックになっている。映像演出的に、またストーリー的に、過去がこの先にどうつながっていくのか。コテコテだった演出にも意味があるに違いない。第2話以降が楽しみだ。
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