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櫻坂46・藤吉夏鈴が演じる陰キャ女子のリアル 「つくたべ」から女優業へ高まる期待

武井保之ライター, 編集者
NHK夜ドラ『作りたい女と食べたい女』公式サイトより

 料理を作ることと食べることが好きな女性2人のささやかな幸せを描くNHK夜ドラ『作りたい女と食べたい女』の第2シーズンがスタートした。1月29日〜2月1日まで放送された1週目では、第1シーズンと変わらぬ2人の日常が描かれるなか、2人のマンションのあいだの部屋に越してきた新たなキャラクター南雲世奈(藤吉夏鈴)が登場した。

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対照的な女性の姿でスタートした1週目

 第1シーズンでは、料理が大好きだがひとり暮らしで少食のため、たくさん作りたいけど我慢していた野本ユキ(比嘉愛未)が、同じマンションに住む豪快な食べっぷりの女性・春日十々子(西野恵未)と知り合い、手料理を食べてもらうことではじまった交流を描いた。

 2人で楽しく料理を作り、一緒に食事をしていくなかで、野本は春日と一緒に過ごす時間に幸せを感じ、彼女への思いが恋だと気づく。自身が性的マイノリティである現実の前に戸惑い、葛藤するが、本当の自分の気持ちのまま生きていくことを受け入れる。ここまでが第1シーズン。

 第2シーズンも、2人の幸せそうな生活からスタートした。クリスマスと年末年始にちょっと贅沢な料理を作った2人は、食費を抑えた倹約生活に入る。そこに、2人のマンションのあいだの部屋に越してきた南雲から、実家から送られてきた野菜とゆずのおすそわけをもらう。そのゆずをジャムにした2人は、おすそわけのお返しをし、話の流れで食事にも誘うが、戸惑う南雲から断られる。

 一方、節分の日に買い物に出た2人は、スーパーで恵方巻きを見かけ、材料を買い込んで自分たちで作ってみることにする。家に帰って、恒例の2人の料理がはじまるが、レシピを調べながら楽しそうに恵方巻きを作る2人とは対照的に、南雲はひとり部屋でチンしてお弁当を食べていた。そんな対照的なシーンのカットバックで1週目が終わった。

表情や視線の動きからセリフの間も含めて繊細に体現

 野本と春日が、2人の出会いから生活に彩りを得て日常にささやかな幸せを感じているのとは逆に、もともと人見知りでコミュニケーションが苦手そうな南雲は、求職中の身でもあり、先の見えない生活を前に明るい気分でいられる状況ではない。そんな、まるで陽と陰の二組の生活ぶりが映されるなか、南雲を演じる藤吉夏鈴の好演が光った。

 藤吉夏鈴は櫻坂46のメンバー。女優としての出演作は少なく、まさにこれからの新人だが、初対面の人とうまく言葉を交わせない、物静かで大人しい性格の南雲を、表情や視線の動きから、セリフの間も含めて、その人間像を繊細に体現した。

 第2シーズン開始前の特別編で、藤吉夏鈴は自身をリアルでも友だちが少ないと話していたが、もともと備える本人の素地を役柄ににじませながら、役の人間性を理解し、自身のなかで消化したうえでの表現が、うまく映えている気がする。

 性的マイノリティを描く本作は、役者にとってそれぞれの役柄の芝居も、作品そのものも難しいドラマになるだろう。そんななか、1週目から芝居を印象付けた藤吉夏鈴は、これから女優としての注目を浴びていくきっかけの役柄になりそうな予感がある。2週目以降の南雲に注目が集まりそうだ。

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ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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