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『ゴジラ-1.0』、『シン・ゴジラ』超えポイントは3週目の興行成績

武井保之ライター, 編集者
『ゴジラ-1.0』(C)2023 TOHO CO., LTD.

 ゴジラ生誕70周年記念映画であり、『シン・ゴジラ』(脚本、総監督:庵野秀明)以来7年ぶりの国産実写ゴジラ作品となる『ゴジラ-1.0』(山崎貴監督)が11月3日に公開され、公開3日間で興収10.4億円、動員64.8万人の大ヒットスタートとなった。

(関連記事「映画興行の明暗 日本は好調、前年超えほぼ確実 深刻不振の韓国は9月で前年比52%」)

 出足の3日間では、最終興収82.5億円の『シン・ゴジラ』との興収対比122.8%、動員対比114.7%。まずは『シン・ゴジラ』超えのスタートを見せた。一方、最終興収で超えるかは、ここからが本番の道のりになる。

『シン・ゴジラ』(2016年7月29日公開)は、公開3週目の週末(公開17日間)で興収33億円、動員230万人を超え、公開5週目の週末(公開31日間)で興収53億円、動員360万人を突破していた。

 通常の興行では、初週がもっとも興収が高く、週を経て徐々に下がっていく。『シン・ゴジラ』が特徴的だったのは、口コミで動員を伸ばし続けていったこと。公開から1ヶ月が過ぎても落ちの少ないロングヒットとなり、邦画実写として稀に見る息の長い興行となっていた。

 そこには、庵野秀明ファンや特撮ファンの枠を超えて、一般層を巻き込む社会現象的なヒットになっていたことがある。ゴジラの形態が進化していくゴジラ映画の新しさや、特撮や映像演出でのクセの強さも話題になった。

 では『ゴジラ-1.0』はどうか。個人的には、日本人の心に強く刺さる作品力があると感じる。実際、公開週末のSNSなどネットでは絶賛コメントがあふれ、そこに興味を引かれる声も多く見られた。

 問題は、これをどこまで維持できるか。より広い層へ興味関心が拡大し、2回目、3回目と繰り返し劇場に足を運ぶファンを生み出すことができるか。『ゴジラ-1.0』の『シン・ゴジラ』最終興収超えは、初週から興収を伸ばし、その勢いをどこまで維持できるかにかかっている。

 まずは公開2週目で前週から伸ばせるか、3週目で30億円を超えられるかが、ひとつの判断基準になるだろう。

 今回の『ゴジラ-1.0』オープニングのスマッシュヒットは、前日の『第36回東京国際映画祭』クロージング上映および、その2週間前に盛大に行われた完成披露イベントから話題性を喚起し、それを維持してきた結果だろう。

 その根底の原動力になったのは作品力だ。試写で観客の心をしっかりと捉えていたからこそ、そこで生まれた感情が、公開を心待ちにする多くの人々を生み出し、その期待感やワクワク感が拡散された。

 とくにこの3連休はそんな空気がひしひしと感じられていた。この先もそれがさらに拡大していくことを期待したい。

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ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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