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「インディ・ジョーンズ」と「トップガン」に共通するハリウッド黄金期“王道”の力

武井保之ライター, 編集者
画像提供:ウォルト・ディズニー・ジャパン

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が6月30日より公開された。さっそく劇場で鑑賞したが、ハリウッド映画が娯楽の王様だった1980年代の「王道の冒険活劇」が、現代版にアップデートされながらもほぼそのままの姿で戻ってきた印象だ。

 作品ジャンルもタイプも異なるが、昨年の『トップガン マーヴェリック』(興収135億円)に通ずる往年の映画ファン層を魅了する力のある作品だろう。今年上半期の洋画興収ランキングTOP5では、興収50億円を超える作品は1本だけだったが、そこに食い込むポテンシャルを感じる。

ベタであることの強さがマスを楽しませる

 1981年に『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』として生まれ、ハリソン・フォードの代表作となった本シリーズは、40代以上にとってはハリウッド黄金期の王道のアクション映画。誕生から42年を経た5作目となる“最後の冒険”は、いまの時代に再びかつてのハリウッドの栄光を蘇らせることの感動がある。

 そこには、映像で人を楽しませる娯楽作品の基本をいくベタであることの強さが潜んでいる。かつてを知る映画ファンが待ち望んでいた作品でもあるだろう。映画好きであれば誰もが観ておく価値のある作品であり、マスを楽しませることができる、昨今の映像作品としては稀な1本であることも間違いない。

 コロナ以降、劇場から足が遠のいた映画ファンを呼び戻すことが大いに期待される。また、どんな映像でもCGで作り出すことができる昨今のアクションエンターテインメント大作とは異なる味わいを、若い世代にこそ体感してほしい。

 洋画不振が続く日本の映画シーンだが、こうした王道が流れを変える礎になることが期待される。本作の興行は、昨年のトム・クルーズ効果には及ばないかもしれない。しかし、『トップガン マーヴェリック』を観た人たちにこそ、この映画をどう見るか、何を感じるか聞いてみたい。映画のおもしろさに改めて気づく人も多いのではないだろうか。

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『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(C)2023 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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