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在日米軍横田基地、非常事態宣言を継続

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
米空軍横田基地(写真:ロイター/アフロ)

在日米軍横田基地(東京)の司令官、アンドリュー・J・キャンベル大佐が6月末に横田基地・施設を対象とした「公衆衛生非常事態」を継続していたことが分かった。東京都では7月3日、新型コロナウイルスの新規感染者が124人に達し、5月25日の緊急事態宣言解除後の最多を更新したが、在日米軍は依然、警戒を解いていない。

都民に警戒を促す「東京アラート」を6月11日に解除した小池都政よりも、横田基地は都内の感染状況を重くみていることがうかがえる。7月5日投開票の東京都知事選でも、小池知事の新型コロナウイルス対策が改めて問われそうだ。

横田基地と第374空輸航空団の司令官を務めるキャンベル空軍大佐は6月30日、公衆衛生非常事態宣言を7月14日まで延長した。

●在日米軍司令官、6月10日に非常事態宣言継続

新型コロナ禍に見舞われたここ数カ月を振り返ると、在日米軍のシュナイダー司令官は4月6日、関東を対象に5月15日までを期限とし、非常事態宣言を発令した。その後、4月15日にはその宣言の対象を全国に拡大した。そして、6月10日には非常事態宣言を継続した。その一方、シュナイダー司令官は6月12日、同日正午をもって日本に駐留する全部隊に対し、新型コロナウイルスの健康保護についての警戒レベルについては、5段階のうち2番目に高い段階「チャーリー」(重大)から3段階目の「ブラボー」(中程度)に引き下げた。

●新型コロナへの警戒を緩めない横田基地

しかし、在日米軍司令部が置かれる横田基地の司令官は5月4日に同基地における非常事態宣言の延長を決定。その後も、非常事態宣言の措置を継続すべきかどうか、15日ごとに見直しを行ってきた。その結果、5月20日、6月5日、6月12日、6月30日と警戒を緩めることなく、非常事態宣言を継続している。

6月22日に横田基地の新たな司令官に就任したばかりのキャンベル大佐は、東京23区をはじめとする都心や、神奈川県の横浜と川崎を「立ち入り禁止」地域に指定している。下記地図の赤色斜線部分がその地域に当たる。首都圏内の立ち入り禁止地域としては、特に渋谷と新宿、六本木の地名を挙げている。

米軍横田基地は都心や横浜、川崎を「立ち入り禁止」地域に指定している。赤色斜線部分が立ち入り禁止地域、黄緑色部分が横田基地(横田基地の発表資料を筆者がスクリーンショットして作成)
米軍横田基地は都心や横浜、川崎を「立ち入り禁止」地域に指定している。赤色斜線部分が立ち入り禁止地域、黄緑色部分が横田基地(横田基地の発表資料を筆者がスクリーンショットして作成)

このほか、全国的には北海道、九州、四国なども「立ち入り禁止」地域に指定している。

米軍横田基地は首都圏のほか、北海道や九州、四国などを「立ち入り禁止」地域に指定している。赤色斜線部分が立ち入り禁止地域(横田基地の発表資料を筆者がスクリーンショットして作成)
米軍横田基地は首都圏のほか、北海道や九州、四国などを「立ち入り禁止」地域に指定している。赤色斜線部分が立ち入り禁止地域(横田基地の発表資料を筆者がスクリーンショットして作成)

在日米軍の非常事態宣言は、日本にある陸海空軍と海兵隊の全ての基地と施設で働く軍人や軍属、従業員、契約業者らを対象に、衛生管理や社会的な接触などに関して予防措置を実施することで、感染拡大を抑制することを目的にしている。

(参考記事)

在日米軍、新型コロナ緊急事態宣言を6月14日まで延長。日本政府の一部解除判断に影響か

在日米軍、新型コロナ対策の警戒レベルを引き下げ

後手に回る安倍政権…対応は在日米軍よりも遅過ぎる!?

米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。ホリプロ所属。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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