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三笘はなぜ右でプレーできないのか。バロンドールを受賞した右利きの右ウイングと比較する

杉山茂樹スポーツライター
ルイス・フィーゴ(写真:アフロ)

 現日本代表の2大看板と言えば三笘薫と伊東純也だろう。ともに右利きのウイングだが、立ち位置は三笘が左で伊東は右だ。3月に行われたコロンビア戦では、三笘が後半、堂安律と交代でベンチに下がると、左ウイング伊東、右ウイング堂安という配置になった。

 伊東が左でプレーするのはいつ以来だろうか。珍しいものを見たとこに変わりはない。一方、三笘の右ウイングは画面越しでは見たことがある。昨季終盤のプレミアリーグ対アーセナル戦。故障で欠場した右ウイング、ソリー・マーチの代役として先発を飾ったが、三笘は満足にボールに絡むことさえできず終い。存在感は無に等しかった。適性のなさが白日の下に晒されたと言う感じだった。

 伊東、三笘とも縦に強さを発揮するウイングだが、マーカーの抜き去り方は対照的だ。スピードを最大の武器にする伊東に対し、三笘はなによりタイミングのズレを狙って交わそうとする。伊東を剛とするならば、三笘は柔だ。

 右利きの右ウイングと右利きの左ウイング。多数派は後者だ。かつては、右ウイングは右利き、左ウイングは左利きが一般的だった。しかしこの20年の間、スタンダードは入れ替わった。伊東タイプは貴重な存在になっている。

 伊東が初めて代表メンバーに招集されたのは、ハリルジャパン時代に行われた2017年E1東アジア選手権だが、この大会はご承知のように代表Aマッチと呼ぶにはグレードの低い大会で、日本は国内組中心のBチーム同然の編成で臨んだ。

 伊東が純然たるA代表に呼ばれたのは2018年ロシアW杯後。森保ジャパンになってからだ。25歳の時である。リオ五輪に臨んだU-23からも漏れているので、サッカー協会がその貴重さに気付くのが遅れたことは明白だ。何を隠そう筆者は当時、伊東はもっと早く呼ぶべきだと指摘していたので記憶は鮮明である。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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