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30年間のベスト11は日本人ばかり。外国人枠も満たしていない。国際性の低下著しいJリーグを心配する

杉山茂樹スポーツライター
写真:Shigeki SUGIYAMA

 30周年を迎えたJリーグ。先日、過去30年間のベスト11とMVPが以下のように発表された。

●ベスト11

GK川口能活、DF井原正巳、内田篤人、田中マルクス闘莉王、中澤佑二、松田直樹、MF遠藤保仁、小野伸二、中村憲剛、中村俊輔、三浦知良

●MVP

遠藤保仁

 ファン投票をもとに選考委員会で決定されたものだという。ヤフー・ジャパン、サッカーマガジン、サッカーダイジェスト、サッカーキング、Sports Graphic Number、Goal.japan、ゲキサカ、FOOTBALL.ZONE、J.LEAGUE.jp編集部が選考委員会の内訳だ。

 投票結果の結果に選考委員会が関与するこの方式。毎シーズン後に発表されるJリーグアウォーズと同じだ。ファン投票に選考委員会はどう関わったのか。選考過程が不透明な点も似ている。その分だけ重みに欠けるとは筆者の印象だが、その結果として選ばれた11人の顔ぶれそのものにも筆者は違和感を覚える。

 過去30年の日本代表ベスト11を選んでいるわけではない。なぜ全員が日本人選手なのか。外国人選手は1人もいないのか。この11人の顔ぶれは自ずと世界に向けて発信される。主幹のJリーグに国際性、世界的市場の一員であるとの自覚はないだろうか。こうした ものを発表することに恥の意識はないのだろうか。

 外国籍選手の在籍年数は確かに短い。10年間、Jリーグでプレーする外国籍選手はそういない。30年後に振り返ったとき、たとえば全盛期を欧州で過ごした後、晩年をJリーグで過ごした日本代表級の人気選手に印象度で劣ったとしても不思議はない。知名度に左右されやすいファン投票の問題点はそこにある。だからこそひと工夫が求められている。選考委員会の存在理由はそこにあるのではないのか。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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