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ここ30年で最も進化した人口1千万人の小国ポルトガルから日本サッカーが学ぶこと

杉山茂樹スポーツライター
写真:SHIGEKI SUGIYAMA

 守田英正所属のスポルティングが、アーセナルに2-2で引き分けた試合。ヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメント1回戦のファーストレグの話だが、ポルトガルリーグの4位チームがプレミアリーグで首位を走るチームに対し、互角以上に渡り合う姿はとても立派なものに映った。

 ポルトガルとイングランド。それぞれのリーグの力関係をUEFAランクで表せば7位対1位となるが、代表チームの力関係では接近する。FIFAランキングは9位対5位だが、W杯やユーロでは接近した成績を収めている。ポルトガルの方が上回るくらいだ。

 ポルトガルはすなわち、欧州のクラブサッカーシーンにおいて人材の輩出国の役を果たしている。欧州では旧ユーゴが昔からこの立ち位置で、第一人者としての地位を築いてきた。分離独立でいくつかの国に分かれた影響で印象は弱まっているが、W杯で好成績を収め続けるクロアチアに、その姿を確認することができる。

 クロアチア人約400万人を含む、旧ユーゴ諸国の人口は約1800万人とされる。

 1)ドイツ約8300万人、2)英国約6700万人(※イングランド約5600万人)、3)フランス約6500万人、4)イタリア約5900万人、5)スペイン約4700万人、6)ポーランド約3800万人、7)ルーマニア約1900万人、8)オランダ約1700万人、9)ベルギー約1200万人、10)ギリシャ約1100万人……13)ポルトガル約1000万人……21)クロアチア約400万人……

 上記はEU圏の人口上位10ヶ国だが、それらと比較することでクロアチア、ポルトガルの立ち位置も見えてくる。

 ポルトガルのクラブチームは、決勝トーナメント1回戦が行われている現在のELには、スポルティング1チームしか勝ち残っていないが、同じペースで進行しているチャンピオンズリーグ(CL)には、ベンフィカとポルトの2チームが残っている。それぞれが勝ち上がりベスト8の2枠を占めることになれば、史上初の快挙となる。勢いを感じずにはいられない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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