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川崎の浮沈のカギを握る山根視来。「サッカーはSBが活躍した方が勝つ」

杉山茂樹スポーツライター
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 つい1年ほど前まで日本代表に選ばれると思っていなかった選手が、今回もしっかり選ばれていた。W杯最終予選対オマーン戦(9月2日)、中国戦(9月7日)を戦うメンバーの中で、フィールドプレーヤーとして選出された国内組はわずか4人。その1人であるだけに貴重な存在に見える。川崎フロンターレの右サイドバック(SB)山根視来のことだ。

 右SBの候補として選ばれた選手は山根を含めて3人。他に酒井宏樹(浦和)、室屋成(ハノーファー96)がいるが、この2人は槍系の右SBだ。将棋の駒で言うなら香車。直進性の高い右SBであるのに対し、山根は中盤的だ。右サイドで円滑なパス回しの起点として機能している。

 川崎に移籍してきたのは昨季。その前に所属していた湘南ベルマーレ時代は、3バックの一角としてプレーしていた。特段、有名ではなかった選手が、短期間の間に右SBとしてJリーグ優勝に貢献し、そのうえ代表チームにまで上り詰める姿は、まさに痛快劇。一番驚いているのは本人かもしれないが、そこにサッカーの面白さ、特殊性を見る気がする。

 もともと備えていた才能なのか、川崎に移籍してきてから開眼したのか、いずれにしても、確実に言えるのは、プレーに間違いがないことだ。感情に起伏が少ないというか、慌てることがない。安定しているのだ。

 具体的に言えば、山根を経由すると、パス回しは円滑になる。間の取り方もいいので、マイペースで試合が進展しているイメージが強まるのだ。ポジション取りもいい。バランス感覚もある。川崎のパスサッカーに欠かせない、一つの重要な駒になっている。

 川崎にとって、いま一番いなくなられては困る選手と言うべきかも知れない。今季これまでの出場時間はチームで断トツの一番。休んだ試合はわずか1試合だ。その他はフル出場を続けている。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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