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カメルーンに内容で敗れた森保J。致命的に欠けているコンビネーションプレーとは

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 欧州組だけで編成した日本代表で臨む国際親善試合。オランダのユトレヒトで行われたその第1戦、対カメルーン戦は0-0の引き分けに終わった。カメルーンをどのレベルのチームと見なすかで評価は分かれるが、判定で勝ち負けを決めるならば、勝者はカメルーンになる。

 試合開始から後半のなかばまで日本はカメルーンに押されていた。ボール支配率は30%台だった。チャンスの数もそれに比例していた。

 だが前半、森保監督は一般的に攻撃的だと言われる4-2-3-1で臨んでいた。高い位置からプレスを掛けやすい布陣を用い、日本のアタッカー陣も、このコンセプトに忠実に従い、相手とボールを勤勉に追いかけた。そして何度かに1回、ボールを奪うことに成功した。4-2-3-1以上に攻撃的と言われる4-3-3で向かってきたカメルーンより、プレッシングは効いていた。

 日本は、早い段階で奪い返す機会が多かったにもかかわらず、ボール支配率で大きく上回られてしまったわけだ。奪ったボールを保持する時間が短かったからだ。相手のプレスが特段、効いていたわけでもないのに、ボールを早い時間に失った。

 攻撃の方法に問題があったことは明白だ。真ん中と外。ボールを奪われやすいのは真ん中だ。相手が四方から取り囲むので、ボールを保持する難易度は外に比べ、自ずと高くなる。早い段階から真ん中に向かって攻撃を仕掛けたこと、サイドを有効に利用しなかったことが、早々にボールを失った一番の原因になる。

 とはいえ前半、森保監督が選択した4-2-3-1は、サイド攻撃を仕掛けやすい布陣である。たとえば、森保監督が後半から採用した3-4-2-1を、その点で確実に上回る。理由は分かりやすい。3-4-2-1が両サイドにサイドアタッカーが各1人しかいないのに対し、4-2-3-1は各2人いるからだ。サイドでボールを保持しやすい布陣。支配率が上がりやすい布陣を採用しておきながら、支配率を上げることができなかった。ここに森保ジャパンの大きな問題が潜んでいる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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