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週末は関東平野部で雪か?鍵を握る最下層寒気の予想は?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雪の東京駅(写真:イメージマート)

最下層寒気の予想

MSM上空500メートル付近の寒気と降水域の予想(ウェザーマップ発表に筆者加筆あり)
MSM上空500メートル付近の寒気と降水域の予想(ウェザーマップ発表に筆者加筆あり)

関東平野部では、先週末の強い寒気に伴う降雪に続き、今週末も南岸低気圧による降雪が予想されています。そして、これまではGSMと呼ばれる13キロ格子での計算値を用いての予想でしたが、きょう17日(水)昼からはMSMと呼ばれる5キロ格子での78時間の計算値も届き始めてきたため、今後は主にこのMSMを用いての予報に変わっていくことになります。(数値予報の種類参考記事

というのも、MSMを用いた計算では、GSMよりも格子間隔がかなり小さく、より緻密に計算されるため、関東平野部の降雪予報などは、精度が高く計算されることが多いためです。

また関東平野部の降雪を予想する上で、最も重要となる上空500メートル付近の最下層寒気の予想も、MSMで20日(土)午後3時まで届き始めました。この上空500メートル付近で0度以下の最下層寒気が関東平野部に北から流れ込む、あるいは滞留するようになると、みぞれや雪になりやすいことが知られています。

今の予想をみると、ちょうど降水が始まる20日(土)昼前から昼過ぎにかけて、0度以下の最下層寒気が内陸に計算されていて、このタイミングで、平野部でも雪が交じったり、雪になる所があるでしょう。問題はこのあと20日(土)夜にかけてどうなるのかですが、そこまではまだMSMの計算が届いていないため、次の計算結果を待つことになります。

20日(土)午後は内陸中心にみぞれや雪か

MSM雨やみぞれ、雪の予想(ウェザーマップ)
MSM雨やみぞれ、雪の予想(ウェザーマップ)

上図もこれまでのGSMによる降雪予報ではなく、MSMを用いた降雪予報で、現段階では20日(土)午後3時まで計算されています。これによると、やはり北部や西部の山沿いは雪、また宇都宮、前橋、熊谷、さいたま、八王子などはみぞれ、東京都心あたりは冷たい雨の予想です。

このあと、20日(土)夜にかけて、上述した最下層寒気が強まれば、雪やみぞれの範囲が拡大し、強まらなければ、降雪域もあまり拡大しないことになります。これまでのGSM予想では、20日(土)夜にかけて、寒気が強まる計算となっていたため、MSMの予想でもそうなる可能性が高いと思われますが、それは次の計算結果を待つことになります。

20日(土)は雪主体、21日(日)は雨主体へ変わる予報

天気と気温の予報(ウェザーマップ)
天気と気温の予報(ウェザーマップ)

上図、ウェザーマップの予報は、まだ主にGSMを用いての予報ですが、20日(土)は内陸や北部を中心に雪が主体の予報となっていて、最低気温の0度から3度は、20日(土)夜遅くにかけて出る予想です。気温が1度以下となれば、積もるような雪となる可能性があり、東京都心も2度の予想ですが、あと1度でも下がれば、積雪が生じてもおかしくない気温となります。

なお21日(日)は南岸低気圧が近づくとともに、最下層寒気は弱まり、関東平野部では、雪の所も次第に雨が主体へと変化しそうですが、山沿いでは雪で降り続く可能性もあり、関東北部や山梨県などは、大雪に注意が必要です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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