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「必ず世界チャンピオンになる」と太鼓判を押された男が19カ月ぶりのリングへ

林壮一ノンフィクションライター
撮影:著者

 WBOアジアパシフィックミニマム級チャンピオン重岡銀次朗(21)が、今月14日に同タイトル2度目の防衛戦を迎える。5戦全勝(4KO)の銀次朗に挑むのは、6戦全勝(3KO)の川満俊輝(25)。

 当初、この試合は5月23日に予定されていたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、7月14日に延期された。

 銀次朗は言う。

 「練習する時間がたっぷりありましたから、コンディションはバッチリです。スパーリングは100ラウンド強やりましたね。12回フルのスパーも6回こなしました。スタミナは問題ありません。スパーを重ねることで、自分のスタイルを確認でき、自分の武器を更に磨けたように思います」 

撮影:著者 自身のポスターの前で
撮影:著者 自身のポスターの前で

 「僕のスタイルはヒット&アウェイなんですが、コンビネーションも交え、カウンターも打てる。どんな相手にも、安定感をもって対応できるようになってきました。このところ、そんな自覚があります。

 今回も、自分で試合の流れを作って圧倒してみせます。僕を知らない人にも存在をアピールして、世界王座を獲れる選手だっていうところを見せたいですね」

撮影:著者
撮影:著者

 「2019年12月31日以来の試合ですから、リングに上がる日を待ち望んでいました。試合を終えたら、故郷の熊本に帰省したいです。数日間は実家でゆっくりしたいし、友人たちにも会いたいですよ」

 試合がなかなか決まらなかった期間に、銀次朗はアルバイトを始めた。昨年の冬から週に3~4回、午前9時から13時まで、蕎麦屋で麺を茹でている。

 「お店の看板メニューは作れるようになりました(笑)。色々、社会勉強をさせて頂いています。これまでは、ボクシングを知らない方と東京で関わることもなかったですし、お金のありがたみも感じますね。何でもコツコツやることが、ボクシングにも繋がるかな。今度の試合は、お店の人たち5人が応援に来て下さるんですよ。常に『いい人たちだな』と感じる職場です」

撮影:著者
撮影:著者

 所属するワタナベジム、渡辺均会長が「間違いなく世界を獲る逸材」と太鼓判を押す銀次朗は世界を見据えるからこそ、最初のタイトルとして日本タイトルではなくWBOアジアパシフィックを狙わせた。早くから12ラウンドの戦いを学ばせたかったのだ。https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20190418-00122579/

 「リングに上がりたくて上がりたくて、辛い日々を送りました。本当に我慢しました。格の違いを見せてやろうと思っています。必ずKOで勝ちますよ」

 期待の星、重岡銀次朗、是非一度、生でその戦い振りをご覧ください。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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