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ウクライナ軍、ロシア軍のイラン製軍事ドローン59機の過去最大規模奇襲で"新記録更新"58機破壊

佐藤仁学術研究員・著述家
キーウに大規模ドローン攻撃(写真:ロイター/アフロ)

ゼレンスキー大統領「過去最大規模のドローン攻撃」

2023年5月29日にウクライナ軍は、ロシア軍が攻撃に使用しているイラン製軍事ドローン「シャハド136」59機が奇襲をしかけてきて、そのうち58機を迎撃して破壊したことを公式SNSで報告していた。1回の攻撃で58機の撃破はロシア軍が侵攻してきてから一番多く新記録を達成(Record-Breaking)したとウクライナ軍は公式SNSで伝えている。

ウクライナのレズニコフ国防相によるとここ3日、ロシア軍によるイラン製軍事ドローン「シャハド」での奇襲は続いており、ウクライナ軍は徹底的に迎撃をしている。またゼレンスキー大統領は、今回のロシア軍によるドローン攻撃は過去最大規模で、首都キーウ周辺で36機のドローンを撃墜したと動画で伝えている。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。2022年10月からロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃して、国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義を無視して軍事施設ではない民間の建物に攻撃を行っている。一般市民の犠牲者も出ている。毎日立て続けにロシア軍はイラン製軍事ドローン「シャハド136」と「シャハド131」を大量に投入してウクライナ全土に攻撃を行っていた。

ウクライナ軍では公式SNSでロシア軍の様々な攻撃を迎撃したりすると報告しているが、全ての迎撃を報告をしているわけではない。ロシア軍のミサイル攻撃を迎撃したり、戦車を破壊したりすることは日常茶飯事だが、毎回報告することはほとんどない。だがイラン製軍事ドローン「シャハド」を迎撃して破壊すると、公式SNSで報告することが多い。

ロシア軍では立て続けにイラン製軍事ドローン「シャハド」を使用してウクライナの軍事施設や民間インフラなどを攻撃している。特に深夜や早朝に大量の「シャハド」で奇襲を行うことが多い。そのようなロシア軍のイラン製軍事ドローン「シャハド」での攻撃に対して、ウクライナ軍では移動式ドローン迎撃車などを作り、機関銃や地対空ミサイルで迎撃して破壊している。ミサイルやドローンを探知すると警報(サイレン)が鳴り、その場にドローン迎撃車が向かって行き迎撃して破壊している。それでも今回のロシア軍のドローン奇襲でキーウでは1人死亡、各都市では民間インフラや教育施設、医療機関などが破壊されたと報じられている。

このようにロシア軍が使用しているイラン製軍事ドローン「シャハド」に対してウクライナ軍の反撃能力をアピールしている。反撃能力の維持と懲罰的報復措置(やられたら何倍にもしてやり返す)のアピールはロシア軍に対する抑止にもなりうる。

▼キーウへのロシア軍のドローン攻撃の様子を伝えるメディア

▼59機のうちドローン58機迎撃を報告するウクライナ軍の公式SNS(2023年5月29日)

▼ゼレンスキー大統領のコメント

▼ウクライナのレズニコフ国防相のツイート

▼54機のうちドローン52機迎撃を報告するウクライナ軍の公式SNS(2023年5月28日)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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