第2次大戦時にナチスドイツが約600万人のユダヤ人、政治犯、ロマなどを殺害した、いわゆるホロコースト。そのホロコーストの象徴のような施設が、ポーランドに設立されたアウシュビッツ絶滅収容所で、アウシュビッツでは約110万人が殺害された。ナチスドイツの収容所政策は「労働を通じた絶滅」だったので、死ぬまで働かされ、働けない子供や老人は収容所に到着直後に選別されてガス室で殺害された。

そのアウシュビッツ絶滅収容所から奇跡的に生還した97歳の女性のリリー・エベルト氏のTikTokのフォロワー数が100万人を超えた。現在、英国に住んでいるエベルト氏はTikTokで視聴者からのホロコースト時代の質問に回答したり、ホロコースト時代の経験を語っている。17歳の曾孫のドヴ・フォルマン氏も登場している。

エベルト氏はハンガリー生まれのユダヤ人で、何も罪もなかったがユダヤ人ということでナチスドイツに占領されてから14歳の時に母と弟、3人の姉妹とともにアウシュビッツ絶滅収容所に移送された。到着すると彼女の母のニナ、弟のベラ、妹のベルタはガス室に送られてしまった。TikTokでエベルト氏が語っているのはこのような当時の辛い経験だが、それでも笑顔で伝えている。

欧米でもTikTokは若年層に人気があり、エベルト氏は若年層にホロコースト時代の経験をTikTokで伝えている。ホロコースト生存者らの高齢化が進み、記憶も体力も衰えており、当時の様子や真実を伝えられる人は近い将来にゼロになる。ホロコーストの記憶や経験を後世に伝えようとして、またホロコースト生存者らの証言を動画や3Dなどで記録して保存している、いわゆる記憶のデジタル化も積極的に進められている。デジタル化された動画は欧米やイスラエルではホロコースト教育の教材としても多く活用されている。だがそれらの動画は教育用に作られているため、学校の授業での視聴に使うことから長時間で、写真なども残虐なものも多くあり内容も重たいことが多い。だが、エベルト氏のTikTokのように音楽に合わせて短時間であれば、若い人にとっても見やすいし、ホロコーストを知るきっかけにもなりやすい。

またユダヤ人のTikTokの動画は「jewtok」(ユダヤ人のJewとTikTokの造語)と言われて、「#jewtok」と付けて発信すると、世界中のユダヤ人がチェックしやすいので視聴者も増えやすい。

エベルト氏は「ドヴと一緒に動画撮影するのはとても楽しいです。ホロコーストの体験を次世代に伝えていくことはとても重要で、このような動画配信ができることを誇りに思います。私のホロコースト時代の体験の証言は決して忘れてはならないことです。時が経って、多くの生存者が他界しているので、当時の証言を伝えて共有していくことは私たちの責任です」と語っている。