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Facebook、広告売上は絶好調だが当局対応で30億ドル計上で4年ぶりに減益

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

当局対応で30億ドルの制裁金を計上で減益

 Facebookは2019年4月24日、2019年第1四半期(1~3月期)の業績を発表した。第1四半期の売上高は前年同期比26%増の150億7700万ドル(約1兆7000億円)で、純利益は前年同期比51%減の24億2900万ドル(約2700億円)だった。4年ぶりの減益となったが、その背景には米連邦取引委員会(FTC)への調査対応と制裁金として30億~50億ドルを費用計上しているため。同社は2018年3月に発覚した個人情報の大量流出に対して、当局対応を迫られている。

 モバイルでの広告売上高は広告売上高全体の約93%を占めており、モバイルと広告収入に依存の収益構造は以前と変わらず、モバイルへの依存がますます強くなってきている。

 Facebookを毎月利用するマンスリーアクティブ利用者(MAUs)は、2019年3月時点、全世界で23億7500万人。デイリーアクティブ利用者数(DAUs)は、全世界で15億6000万人だった。

絶好調の「Facebookファミリー」ストーリーズのDAU5億人突破

 Facebookは傘下のSNSであるFacebook、写真共有アプリInstagram(インスタグラム)、メッセージのWhatsApp、Facebook Messenger(メッセンジャー)という「Facebookファミリー」のストーリーズのデイリーアクティブ利用者(DAUs:毎日利用している人)が5億人を突破していることを明らかにした。Facebookでは広告をストーリーズにシフトしており、300万の広告主がストーリーを利用しており、タイムラインの上部に表示されるので広告主からの評判も良い。

 個人情報が大量に流出して社会問題になり、当局対応を迫られているFacebookだが、世界中でFacebookとファミリーアプリの利用者は増加している。欧米では微増だが、アジアや新興国ではスマホの普及に伴って、現在でもFacebookやインスタ、メッセンジャーの利用者は拡大している。Facebookファミリーの利用者拡大によって、同社の広告収入も増加している。広告は人が多く集まるところに出稿される。

 Facebookだけでなくインスタ、メッセンジャー、WhatsAppのFacebookファミリーは世界中で多くの人々の情報流通のインフラになっており、メッセージのやり取りなど生活に欠かせないアプリになっている。情報流出を気にしていない人も特に新興国では多いが、これらのアプリがないとコミュニケーションができないので、たとえ個人情報が流出していようとも、他に代替の手段がないから仕方なく使っている人も多い。

Facebookの四半期ごとの地域別MAUの推移と割合(公開情報より作成)
Facebookの四半期ごとの地域別MAUの推移と割合(公開情報より作成)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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