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Facebook、20億人突破後も伸びる利用者:これから求められる監視体制の強化

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

売上の88%がモバイル広告、20億人突破後も増加する加入者

 Facebookは2017年11月1日、2017年第3四半期(7~9月期)の業績を発表した。第3四半期の売上高は前年同期比47%増の103億3,000万ドル(約1兆2,000億円)で、純利益は47億1,000万ドル(約5,300億円)と大幅な伸びを見せた。売上のうち広告売上高は49%増の101億4,000万ドルでFacebookの売上の98%を占めている。Facebookの売上が広告依存に変わりはない。広告収入のうちモバイル向けの広告収入が88%を占めており、ますますモバイルがFacebookの稼ぎ頭になっている。

 そしてFacebook利用者の約70%の14億人以上がアジア太平洋地域やその他の新興国市場で、これらの市場ではスマホの普及によって、利用者数が大きく伸びている。だが、まだ売上のほとんどは北米(アメリカ)と欧州だ。アジアや新興国でのマネタイズにはまだ時間がかかりそうだ。

 Facebookを毎日利用するデイリーアクティブ利用者(DAUs)は、2017年9月時点、全世界で前年同期比で16%増の13億7,000万人。月間アクティブ利用者数(MAUs)は、全世界で同16%増の20億7,200万人だった。中国ではFacebookを利用できないが、それでも世界中で約3人に1人がFacebookを毎月利用していることになる。前期に20億人を突破してからも順調に世界中で加入者を増加させている。

 さらに傘下のInstagramとWhatsAppもそれぞれ毎日の利用者が3億人以上おり、前期の2億5,000万人から大きく利用者が増加している。特に、写真共有SNSのInstagramは「インスタ映え」という用語も登場するように日本でも若者に大人気だ。Instagramは世界規模では、月間アクティブユーザー数は8億人を突破。日本でも月間のアクティブユーザー数が2,000万人を突破した2017年10月に明らかにしている。

Facebookの四半期ごとの地域別MAUの推移と割合(公開情報より作成)
Facebookの四半期ごとの地域別MAUの推移と割合(公開情報より作成)

コンテンツ監視の強化へ

 2016年の米国大統領選挙で、ロシアの関連団体が政治宣伝を目的とした広告がFacebookに掲載されたことについて批判が高まっている。ロシアを拠点とした情報組織「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」が、約120件のページを開設して、8万件以上の記事を投稿。Facebookに2年間にわたって大統領選挙に関わる投稿や広告を掲載し1億2,600万人以上のアメリカ人が閲覧した可能性を明らかにした。さらにIRAが投稿したInstagramは2,000万人以上のアメリカ人が閲覧していたと報じられている。

 そのためFacebookには、不適切なコンテンツや広告の取り締まり強化が求められている。同社は2018年にはコンテンツや広告の安全対策として、1万人増強して現在の2倍の2万人で監視体制を強化するなど、現在の費用の45%から60%増やしていくこともCFOのDavid Wehner氏が明らかにしている。

 ザッカーバーグCEOも、Facebookで自身の発言した長文のコメントを掲載している。ロシアがFacebookを悪用したことに怒りを覚えるともコメント。このようなニュースや情報操作に活用されるのも、それだけFacebookが全世界でのコミュニティとなっており、情報発信のプラットフォームとして有効なことの裏返しだ。

 世界中で誰もがスマホを所有するようになり、Facebookで流れてくる情報や広告、友人らがシェアしたニュースなどをチェックするのが日常的になっている。そして、あまりにも突飛な記事以外は「それらのニュースや情報が偽物(フェイク)かどうか?」と疑うことは、ほとんどない。世界規模であまりにも巨大な情報流通プラットフォームとなったFacebookに求められる監視の役割は大きい。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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