Facebook、インドで低価格でWi-Fi提供:Googleは無料なのに
Facebookはインドの地方において廉価版のWi-Fiサービス「Express Wi-Fi」を提供していくことを明らかにした。既にウッタラーカンド州、グジャラート州、ラージャスターン州、メーガーラヤ州では約700カ所のスポットがある。Facebookはインド最大の通信事業者Airtelや地場のISPと提携してWi-Fiサービスを提供。今後インド全土20,000カ所以上でWi-Fiが利用できる環境を構築していく。
お金を払ってまでWi-Fiを使うのか
インドではGoogleがインドの鉄道駅やカフェやモールなどで無料でWi-Fiサービスを既に提供している。一方で、Facebookがインドで提供するWi-Fiは廉価だが、有料だ。1日につき10ルピーから20ルピー(約17円~35円)、1か月だと200ルピーから300ルピー(約350円~500円)。データ容量によって料金は異なり、ネットやキオスクなどでWi-Fi にアクセスするクーポンの購入が可能。
インドでも急速にスマホが普及している。そのインドではスマホを利用する時はプリペイドが主流で、データ通信費もプリペイドで購入する。通信費にはとても敏感だ。動画などを見るとすぐにチャージ分のデータ通信費がなくなってしまう。そのためネットにアクセスする際は無料で利用できるWi-Fiスポットに行って利用することが多い。実際にGoogleが提供している無料のWi-Fiは1か月に500万人以上が利用し、ネットに初めてアクセスする人が1日に1万5,000人いると報じられている。Facebookは低価格だが、ユーザーに有料でWi-Fiを提供する。だが、それでは通信事業者が販売しているデータ通信用のプリペイドSIMを購入しているのと変わらない。
人口12億人を超えるインドにはFacebookの利用者が1億8,400万人いる。また傘下のメッセンジャー、WhatsAppの利用者は2億人いる。Facebookの収益の98%以上が広告収入だ。また全世界で年間約3兆円規模の売上があるFacebookが、インドの低価格なWi-Fi通信費を新たな収入源とも期待していないだろう。そして人口12億人のうちインドでネットにアクセスできる人はまだ4億人程度とのこと。多くの人がネットにアクセスできない理由はカーストによる文化的要因や、お金がないからスマホを購入したり通信費が払えないからだ。
Googleは明らかにWi-Fiの通信費は無料でもよいから多くのインド人にネットにアクセスしてもらうことによって、Googleのサービスを利用してもらい、そこから広告収入を得ることと多くの情報を収集することで人工知能など新サービスの強化を図ることだ。FacebookもWi-Fiは無料で提供してでも、Facebookやメッセンジャーを利用してもらうことによって広告収入や多くの情報を得る方がメリットではないだろうか。低価格とはいえ、Facebookがインドで提供する有料のWi-Fiサービスはどのくらいインドで普及するのだろうか。
Facebookでは「Express Wi-Fi」をインドだけでなくケニアでもトライアルを行っており、今後はナイジェリア、タンザニア、インドネシアでも提供することを計画している。