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「推し活」から「沼活」へ。なぜ人びとは沼家電にハマるのか

坂口孝則コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家
一度、使ったら離れられない家電たち(提供:イメージマート)

家電量販店に行くたびに、あるいは、通り過ぎるたびに、「ちょっと気になる家電」があるかもしれません。なかなか買う機会がなく、数年間が過ぎてしまう。しかし、実際に買うと便利すぎて、その家電がない生活が想像できない。そして気づくと、その家電にハマってしまう。

このことを「沼家電」と呼ぶ流れがあります。なんといっても「沼」ですからね。このネーミングにやや驚きを覚えました。

アイドルを「推し活」で応援するようなものです。その家電とふれあい、便利さの沼に落ちていく……。普通、「沼」は、何かに夢中にってしまい抜け出せない状態を指します。そのコンセプトを家電に適用し、便利な家電が私たちの生活に欠かせない状況を表現しています。

ある種のトレンドとしての遊び心も感じられます。

ところで、この記事のサムネイルは掃除機や洗濯機など、私たちが「沼家電」として自宅で「共生」しているものを挙げました。あとは、調理家電、美容家電、あるいは最近ではウォーターサーバー(これも家電です!)があるかもしれません。

この「沼る」理由としては次のような背景が考えられます。

タイパ:タイムパフォーマンス。なんといっても現代人は忙しいですから、時間の短縮が求められているのは間違いありません。タイパ、時短、効率化。手間暇をかけずに、自らのQOL(Quality of life)を向上させる家電が求められています。

アフィリエイトはしないので具体的な商品名はいいませんが、私もオーディオ機器を購入し、まさに生活の質が向上しました。

SNS:また、やはりSNSは欠かせません。家電の機能や便利さについて、私たちは敏感に反応します。またレビューが、家電の選択に影響を与え、違う誰かの「沼落ち」が伝播していきます。

リラックスやストレス解消:さらに「沼家電」としてリラックスやストレス解消の側面も忘れてはいけません。私が挙げた例のように、オーディオが最高の音楽を奏でることでリラックスした感情を味わうかもしれません。昨今では「健康経営」が話題ですが、家電がメンタルを含めたウェルビーイング向上も担うかもしれませんね。

それにしても「沼」家電っていうのは、巧妙なネーミングですが、「推し活」の次は「沼活」の流れがやってきているのです。

コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家

テレビ・ラジオコメンテーター(レギュラーは日テレ「スッキリ!!」等)。大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務、原価企画に従事。その後、コンサルタントとしてサプライチェーン革新や小売業改革などに携わる。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、サプライチェーン学講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)、『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)、『モチベーションで仕事はできない』(ベスト新書)など著書27作

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