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コンドームの売上は緊急事態宣言とまん延防止に影響を受けたか

坂口孝則コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家
緊急事態宣言とまん延防止等重点措置は、コンドームの売上を減らしたのでしょうか。(写真:イメージマート)

緊急事態宣言とまん延防止等重点措置は、人と人との接触を減らすことを求めます。では、男女の接触も減っているはずであり、コンドームの売上は減ったのでしょうか。

家族の場合はさほど影響を受けなかったかもしれません。しかし、男女の恋愛が減った可能性があります。

ところでコンドームの売上といっても、あくまで真面目に、そして社会学的に調べてみます。

関東圏のドラッグストアのPOS(Point Of Sales)データから一店舗あたりの売上高推移を見てみます。なお、この範囲を関東圏に設定したのは、東京都のまん延防止等重点措置と相関を見るためです。

結論です。コンドームの売上はどれくらい影響を受けたのでしょうか。売上のグラフを見てみましょう。

関東地域のドラッグストアPOSデータからグラフを著者作成。一店舗の月あたり売上高を示している。店舗には大小があるがあくまで平均値を示す。なおカテゴリは避妊具としている。
関東地域のドラッグストアPOSデータからグラフを著者作成。一店舗の月あたり売上高を示している。店舗には大小があるがあくまで平均値を示す。なおカテゴリは避妊具としている。

ここで各時期と重ね合わせてみます。次のカレンダーは東京都の緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の時期です。

[まん延防止] 2021/4/12(月)~4/24(土)

[緊急事態] 2021/4/25(日)~6/20(日)

[まん延防止] 2021/6/21(月)~7/11(日)

[緊急事態] 2021/7/12(月)~9/30(木)

[まん延防止] 2022/1/21(金)~3/21(月)

下のグラフにおいては次のような区分です。

●薄い青:まん延防止

●薄いオレンジ:緊急事態

関東地域のドラッグストアPOSデータからグラフを著者作成。一店舗の月あたり売上高を示している。店舗には大小があるがあくまで平均値を示す。なおカテゴリは避妊具としている。
関東地域のドラッグストアPOSデータからグラフを著者作成。一店舗の月あたり売上高を示している。店舗には大小があるがあくまで平均値を示す。なおカテゴリは避妊具としている。

できるだけ主観を除いて述べると次の傾向です。

[まん延防止] 2021/4/12(月)~4/24(土)→微増

[緊急事態] 2021/4/25(日)~6/20(日)→減少

[まん延防止] 2021/6/21(月)~7/11(日)→微増

[緊急事態] 2021/7/12(月)~9/30(木)→減少

ここで私は、まん延防止は効かず、緊急事態宣言はアナウンス効果があった、と書きたい衝動に駆られます。ただ、それはあくまで感想に過ぎないので、事実だけ記しておくことにします。

まん延で上昇、緊急事態宣言で減少、を繰り返しています。

なお、上記のグラフには印をつけていないものの、新規陽性者数が落ち着いた12月くらいから売上高は上昇し、さらに、新規陽性者数が増加に転じた1月からは、ふたたび売上高が減少しています。

性的な行為だけが男女の関係を象徴するわけではありません。それは承知のうえで、今回はコンドームの売上を調査しました。

みなさんはどう思うでしょうか。

コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家

テレビ・ラジオコメンテーター(レギュラーは日テレ「スッキリ!!」等)。大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務、原価企画に従事。その後、コンサルタントとしてサプライチェーン革新や小売業改革などに携わる。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、サプライチェーン学講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)、『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)、『モチベーションで仕事はできない』(ベスト新書)など著書27作

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