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なぜ、子どもが言うことを聞かないのか?どうしたら聞いてくれるのか?

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

親も先生も含めて、私たち大人の多くが「子どもが言うことを聞いてくれない」と悩んでいます。

そして、その原因は子どものほうにあると漠然と思っています。

でも、実は、その原因は大人の言葉にあることが多いのです。

例えば、大人は子どもに対して、「勉強しなきゃダメでしょ」「何で片づけしないの」「やるべきことをやらなきゃダメでしょ」などと言いがちです。

実は、このような「ない」とか「ダメ」などの否定的な言い方は、相手にダメ出しをしているわけで、言う方は無意識のうちにちょっと気持ちがいいと感じているのです。

というのも、自分が相手より優位な立場であることが確認できるからです。

これは動物的な本能といっていいもので、一種のマウンティングです。

でも、言われる方は当然ものすごく不愉快になります。

その不愉快な感情が圧倒的に大きいので、いくら相手が正しいことを言っていても、受け入れる気持ちがなくなってしまいます。

たとえ頭ではそれが正しいと理解できたとしても、気持ちの方が納得しないのです。

ですから、否定的な言葉で相手を責める言い方はやめた方がいいです。

では、どう言えばいいのでしょう?

例えば、次のような言い方がお薦めです。

●肯定的な言葉をつかう

「○○するといいよ」

「○○するとうまくいくよ」

「先にやっておくと後が楽だよ」

●先に取り敢えずほめる

「がんばってるね」

「こぼさずにできてるね」

「ていねいにたたんでるね」

「この字は形がいいね」

「○○してくれてありがとう」

●アイメッセージで伝える

「○○だとうれしい」

「○○してくれるとママも助かる」

「時間通りに帰ってきてくれるとホッとする」

●ユーモアを交えて言う

「新幹線のスピードでやっちゃおう」

「起きないとくすぐるよ」

●数字を入れる

「8時24分に出るよ」

「後3分で出発」

「ゴミを10こ拾おう」

●ハードルを下げる

「1問だけやろう」

「1分だけやってみよう」

「半分の半分だけやってみよう」

「準備だけしておこう」

●ヘルプ

「一緒に○○しよう」

「パパが半分やってあげるから一緒にやろう」

「パパが消しゴム係やってあげるからやろう」

「ママが問題読んであげるよ」

「答えを教えてあげるからやってみよう」

●競争でゲーム的にする

「どっちがたくさん片づけられるかな。片づけごっこ、用意ドン」

「どっちがはやいか競争だ」

「パパと着替えっこ競争」

●選択肢から選ばせる

「2つの中から選ぼう。1は先に食べてその後で片付ける。2は先に片付けてから食べる。どっちにする?」

「お兄ちゃんは、お風呂掃除と玄関掃除のどっちをやりたい?」

●単純形でシンプルに伝える

「○○しよう」

「さあ、片づけよう」

「今から○○するよ。がんばろう」

●お願いする

「○○してください。お願いします」

「ママの一生のお願い聞いてくれる」

これらの言い方には、子どもを責める要素が入っていません。

責められていなければ、子どもは素直な気持ちで耳をかたむけることができます。

最後に大切なポイントをもう一度いいます。

とにかく、「責めずに伝える」ことが大切です。

教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。Instagram、Threads、Twitter、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」などで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、オンライン講演、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メルマガ、講演のお問い合わせなどについては「親力」で検索してHPから。

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