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「子どもが言うことを聞かない→叱る→ますます聞かない」という悪循環を断ち切るには?

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

あなたは「子どもをしっかりしつけなければ」「マナーを身につけさせなければ」「だらしがないのを直さなければ」「学力を上げなければ」など、たくさんの「なければ」を抱え込んでいませんか?

まじめな人ほどそうなりやすいです。でも、子どもは親とは別の人格と意思を持つ存在ですから、親の思うようになってくれるはずがありません。それでも何とか言うことを聞かせようとして、親子ともども苦しくなってしまうというのがよくあるパターンです。

親自身が苦しい状態になると、どうしても笑顔が減り子どもへの言葉もきつくなります。「また○○してないよね。なんでしないの。ちゃんとやらなきゃダメでしょ」というようにです。

このように言われると子どもは不愉快なので、素直に耳を傾ける気になれません。場合によっては、反発心から逆のことをやりたくなることもあります。

また、度重なると「お母さんお父さんはぼくのことをダメな子だと思っているみたいだ。どうせぼくなんかダメな子だよ。こんなダメな自分はもうお母さんお父さんに大切に思われていないかも」という気持ちになってきます。

それで親への不信感がつのり、自己肯定感も下がります。そして、まるますやる気がなくなっていくいう悪循環におちいります。

既にそうなっているという家庭も多いと思います。そこでそういう方々に、お薦めしたいのが「親子で笑って楽しく過ごす」ことを最優先にしてみることです。

見て見ぬ振りでスルーすることも大事

具体的には次の2つに徹することです。

1,望ましい行動についてはほめる

2,望ましくない行動については叱ったり指摘したりしないで、見て見ぬ振りでスルーする

この2つに徹していると、お互いのげとげした感じがなくなってきてよい雰囲気になってきます。すると、子どもも親の言うことに耳を傾けてくれることが多くなってきます。

だんだん親子関係がよくなってきて、子どもの心も安定してきます。すると、きょうだいげんかも減りますし、勉強などへの集中力も多少は上がってきます。それでまたほめる回数が増えて…、というようによい循環が始まります。

この2つの中で、とても大事でかつ難しいのが2番の方です。その中でも特に大事でかつ難しいのが指摘しないということです。

親の方は「叱らないまでも指摘するくらいはしなくては」と思って指摘するのです。でも、子どもの方はそれを「叱られた。否定された」と感じてしまうのです。

1番の方はやっているけど2番はやっていないという人が多いはずです。でも、2番もやらないと、いくらほめてもプラスマイナスゼロで効果が出ません。

どうせ叱ったり指摘したりしてもうまくいかないのですから(それは経験ずみのはず)、この際だまされたと思ってやってみてください。一週間でいいので思い切ってやってみてください。

大事な点を繰り返します。悪循環を断ち切ってよい循環にするためには、今まで通りでは無理です。思い切って1と2に徹してみてください。

教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOk』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Instagram、Threads、Twitter、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。オンライン講演も可。お問い合わせは親野智可等の公式サイトから

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