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留守番の子どもが看病する:食の自立(後編)                   

奥田和子甲南女子大名誉教授、日本災害救援ボランティアネットワーク理事

 新型コロナウイルスが世界中に広がりを見せるなか、子どもたちは学校閉鎖になり自宅にいる。そんな時、親は一人ボッチの子どもの食事をどうしたらいいか思案し悩んでおられることでしょう。

前回は一人でお留守番する子どもでも、こうすれば、立派に自分の食事は自分で用意できるという提案をしました。実際にやって見られましたか。うまくいきましたか。

 学校閉鎖の2週間中、今回は後半について述べたいと思います。ハプニングがおきました。同居のおじいちゃんが不調になりコロナウイルスの検査を受けました。するとトリアージの結果、自宅待機するようにいわれ、1日中ベッドで寝ています。

親は働いていて不在なので、小学生のA君はおじいちゃんのお食事を作ることになりました。さあ、できるかな?

 (前編)で述べた絵本をめくって家族に病人が出た時のページをピックアップしてみました。

 ■おじいちゃんはおかゆが食べたいという。

 大丈夫!おまかせ!と次のようにしておかゆを炊きました。そんなに大事件ではありません。1,2回練習しておけば誰でもできます。どの鍋で炊くかさえ親に教えてもらいましょう。その鍋に米+水を入れて中くらいの火にかけふたはしません。30分間煮て少し冷えてからお茶碗に入れます。使い捨て容器の方が洗わなくてよいのでお勧めです。さあ、おじいちゃんは元気になるぞー。

(イラスト提供 奥田和子)

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■寝ている部屋へ入るときは、マスク、使い捨てビニール手袋をしましょう。おかゆを渡したらぺちゃくちゃお話はしません。おだいじにねというだけにします。食べ残し、器はゴミ袋へすぐ捨てます。ゴミ袋は裏口に別に置きます。ゴミ袋の口はガムテープで封をきっちり閉めます。

(イラスト提供 奥田和子)

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■病人はのどが渇きます。手作りの点滴をつくっておいて飲ませましょう。鍋に砂糖+塩+水を入れ火にかけて(ふたをしない)ぶつぶつ煮えてきたら火を止めます。冷えたら紙コップに入れておじいちゃんの部屋へ持って行きます。残りは清潔な容器に移し替えて冷蔵庫に入れておきます。

(イラスト提供 奥田和子)

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■そのうち元気になって温かいご飯が食べたいというでしょう。そのときには電気釜でご飯が炊けるといいですね。それまでに2,3回ご飯の炊き方を練習しておきましょう。炊飯器の釜に米をはかり入れ、水道の水で洗います。水を線のところまで入れて釜をセットしスイッチON、これで勝手に出来上がりです。なんだ、簡単だねと驚きますよね。

使い捨ての器に入れて梅干しをのせておじいちゃんのところへ運びます。おじいちゃんはきっと泣いて喜ぶことでしょう。

(イラスト提供 奥田和子)

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 以上、すべておじいちゃんや家族を助け喜ばせるためのものです。けがややけどをしないように注意深く落ち着いてしましょう。おじいちゃんはウイルスが体にいても、今は陰性です。しかし、いつ陽性に変わるかわかりません。だから感染しないように用心しましょう。箸やスプーンは使い捨てすることをすすめます。手袋をはずしたらよく手を洗いしましょう。早く元気になるといいですね。ご苦労さまです。

甲南女子大学       

名誉教授 奥田和子

甲南女子大名誉教授、日本災害救援ボランティアネットワーク理事

専門は食生活デザイン、食文化、災害・危機管理と食、宗教と食。広島大学教育学部卒業。大阪市立大学学術博士取得。米国カリフォルニア大学バークレー校栄養学科客員研究員、英国ジョーンモアーズ大学食物栄養学科客員研究員、甲南女子大学人間科学部人間環境学科教授を経て、現職に至る。「震災下の食―神戸からの提言」(NHK出版)、「働く人たちの災害食―神戸からの伝言」(編集工房ノア)、「和食ルネッサンス『ご飯』で健康になろう」(同時代社)、「箸の作法」(同時代社)、詩集など著書多数。

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