Yahoo!ニュース

死者の半数は70代と80代の能登半島地震から一か月、寒さと雪や雨が続いた被災地

饒村曜気象予報士
予想天気図(2月1日9時の予想)

能登半島地震の死者の半数は70代と80代

 関連死15名を含めて236名がなくなり、いまだに19名が不明という大きな被害が発生しました能登半島地震(最大震度は輪島市と志賀町で震度7)という衝撃の正月から一か月がたちました。

 個人保護の観点から、お亡くなりになられた方の氏名等については、ご遺族の同意を得られた内容のみを石川県が公表しています(公表は129名)。

 筆者が新聞記事から性別や年齢が特定できた64名を加えた193名(全体の82パーセント)について、男女別、年齢別に分析したのが図1です(従って誤差があります)。

図1 能登半島地震による男女別・年齢別の死者(石川県が公表している129名に筆者が新聞記事から求めた64名を加えた全体の約82%にあたる193名、平均69才)
図1 能登半島地震による男女別・年齢別の死者(石川県が公表している129名に筆者が新聞記事から求めた64名を加えた全体の約82%にあたる193名、平均69才)

 これによると、男性96名、女性97名とほほ同数で、年代別では70代が一番多く、全体の28パーセント、次いで80代の20パーセントとなっています。

 70代と80代で全体の約半分を占めており、近年の傾向として指摘されている災害の犠牲者の高齢化が目立ちます。

 と同時に、10代の犠牲者も比較的多く、正月に祖父母のところに集まった最中の地震被害ということかもしれません。

地震発生後一か月の天気と気温

 地震発生後の石川県輪島の最高気温と最低気温の推移をみたのが図2です。

図2 石川県輪島の最高気温と最低気温の推移(1月1日~31日は実況、2月1日~16日はウェザーマップの予報)
図2 石川県輪島の最高気温と最低気温の推移(1月1日~31日は実況、2月1日~16日はウェザーマップの予報)

 地震発生後は平年より最高気温、最低気温が平年より高い日が多かったといっても、真冬の能登地方です、

 最高気温でも12度を超すのがやっとで、4度以下という日もありました。また、救援が進んでいない1月中旬には最低気温が氷点下という日が続いています。

 しかも、観測が不明な1月2日を除くと、1月3日から16日まで連続して降水量が0.5ミリ以上という雪や雨が降っています。その後、18日と20日から28日も降水量が0.5ミリ以上の雪や雨が降っています。

今後の天気予報

 現在、低気圧が北海道を通過中です(図3)。

図3 地上天気図と衛星画像(令和6年(2024年)1月31日21時)
図3 地上天気図と衛星画像(令和6年(2024年)1月31日21時)

 この低気圧が通過後、北日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置となって、寒気が能登半島付近まで南下する見込みです(タイトル画像)。

 輪島の16日先までの天気予報をみると、2月1日は雪の予想ですが、その後は、晴れる日もでてくる見込みで、1月のように連日にわたって降水があるということはなさそうです(図4)。

図4 輪島の16日先までの天気予報
図4 輪島の16日先までの天気予報

 とはいえ、気温は平年並みか平年より多少高い程度ですので、いましばらく、寒さ対策が必要です。

タイトル画像の出典:気象庁ホームページ。

図1の出典:石川県ホームページと新聞記事をもとに筆者作成。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。・

図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事