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網走で流氷初日 2月の寒気南下は北日本中心で、周期的に南岸低気圧が通過

饒村曜気象予報士
日本海の寒気南下を示す筋状雲とオホーツク海流氷(図の濃い水色)(2月2日15時)

流氷初日

 今週は発達した低気圧の通過とその後の西高東低の冬型の気圧配置の強まりによって北日本では暴風雪となりました(図1)。

図1 地上天気図(2月2日15時)
図1 地上天気図(2月2日15時)

 また、強い北風によってオホーツク海の海氷が南下し、知床半島に接岸しました(図2、タイトル画像参照)。

図2 海氷密接度(2月2日9時)
図2 海氷密接度(2月2日9時)

 網走地方気象台では、2月2日に流氷初日(視界外の海域から漂流してきた流氷が視界内の海面で初めて見られた日)を発表しました(表)。

表 流氷初日の平年値と令和5年(2023年)の観測
表 流氷初日の平年値と令和5年(2023年)の観測

 網走では平年より11日遅い流氷初日となりました。

 近年、測候所の無人化や地方気象台の観測の自動化によって流氷観測が縮小しており、網走地方気象台や稚内地方気象台では、流氷初日の観測は継続しているものの、流氷終日(視界内の海面で流氷が見られた最後の日)などの観測は終了となっています。

金曜日の天気予報

 この先の天気予報をみると、2月の寒気南下は北日本中心で、寒気南下が少し弱まったタイミングで南岸低気圧が周期的に通過する見込みです。

 まずは、2月3日(金)です。

 発達した低気圧が千島の東海上に進み、北日本を中心とした冬型の気圧配置が緩んでくる見込みです(図3)。

図3 予想天気図(2月3日9時の予想)
図3 予想天気図(2月3日9時の予想)

 このため、3日は北〜東日本の日本海側で雪の所がありますが、この雪はおさまってくる見込みです。

 北~東日本の太平洋側や西日本では概ね晴れますが、この時の南岸低気圧の北側の関東の南海上で低気圧が発生する影響で関東地方は雲が多く、関東南部は夜には雨か雪の見込みです。

 降水量が少ないため、雪が降っても積もることはない見込みですが、最新情報に注意してください。

関東地方の雪

 2月6日(月)から7日(火)は次の南岸低気圧が西日本から日本の東海上を通過する見込みです。暖気が入り、この時季としては大雨になる可能性がありますので注意が必要です(図4)。

図4 各地の天気予報(数字は最高気温の予報)
図4 各地の天気予報(数字は最高気温の予報)

 関東地方では気温が高く、雪ではなく、雨が降ると考えられます。

 しかし、その次の南岸低気圧が通過する2月10日(金)から11日(土)は、寒気が少し南下してきますので、雪の可能性があります。

 南岸低気圧の予報は、今でも難しい予報の一つですので、最新の気象情報での確認が必要です。

 ただ、南岸低気圧が定期的に通過するということは、西日本から東日本は寒気があまり南下してこないことを意味し、春の兆しです。

タイトル画像、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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