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冬型の気圧配置が少し弱まって南岸低気圧通過 関東の平野部で積雪のおそれ

饒村曜気象予報士
東京都渋谷区スクランブル交差点(写真:アフロ)

今冬一番の寒気の南下

 令和5年(2023年)は、年始から寒気が周期的に南下していましたが、1月13日(金)は北日本を通過した低気圧に向かって暖気が北上し、4月並みの気温という季節外れの暖かさになりました。

 鹿児島県名瀬市で26.4度を観測するなど、最高気温が25度以上という夏日を観測したのが21地点(全国で気温を観測している914地点の約2パーセント)もありました。

 しかし、その後、西高東低の冬型の気圧配置が強まり、最高気温が氷点下という真冬日や、最低気温が氷点下という冬日を観測した地点数が急増しています(図1)。

図1 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年1月26日)
図1 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年1月26日)

 今冬、冬日を観測した地点数が一番多かったのは、1月22日(日)の743地点(約81パーセント)でしたが、1月24日(火)は859地点(約94パーセント)、1月25日(水)は869地点(約95パーセント)と連日更新しました。

 南西諸島以外は全ての観測地点で冬日でした。

 また、真冬日の観測地点数が一番多かったのは、先月12月19日(月)の297地点(約32パーセント)でしたが、1月25日(水)は504地点(約55パーセント)と、大幅に更新しました。

 全国の半数以上の地点で、気温が一日中氷点下という、冷凍庫の中の状態でした。

今冬の冬型の気圧配置

 今冬の特徴として、冬型の気圧配置は強さの割には長続きしないということがあげられます。

 今回の非常に強い寒気の南下に伴う西高東低の気圧配置も、1月26日(木)には西日本から弱まり、暴風雪が続いていた北日本でも暴風や大雪が弱まってきました。

 しかし、1月27日(金)は、北日本や東~西日本の日本海側では雪や雨が降ることに加え、本州南岸を進む低気圧の影響で、太平洋側の地域も天気が下り坂となると考えられます(図2)。

図2 予想天気図(1月27日9時と1月28日9時の予想)
図2 予想天気図(1月27日9時と1月28日9時の予想)

 西日本や東海は朝から、関東も午後には雨や雪が降り、東京都心部でも雪が混じるかもしれません。

 ただ、低気圧が陸地から離れて通りますので、現時点では量は多くならない見込みですが、通勤・通学の帰宅時刻と重なります。

 雨雪判別を見ると、沿岸部は雨、少し内陸でみぞれ、山地で雪となっています(図3)。

図3 雨雪判別予報(1月27日17時の予報)
図3 雨雪判別予報(1月27日17時の予報)

 都心部では相互乗り入れで遠くから列車がやってきますので、山地等で降る雪で遅れがでることを考え、早めに行動をとる必要があります。

 また、気温が低い状態が続いていますので、雨や雪の量が少なくても、1月28日(土)の朝は路面凍結のおそれがあります。

再び南下する強い寒気

 1月28日(土)は、南岸低気圧が日本の東海上で発達するため、西高東低の気圧配置が強まり、再度、強い寒気が南下する見込みです(図4)。

図4 上空約5500メートルの気温分布(左は1月24日夜の実況、右は1月28日夜の予報)
図4 上空約5500メートルの気温分布(左は1月24日夜の実況、右は1月28日夜の予報)

 強い寒気の目安となっている上空約5500メートルで氷点下36度以下の範囲は、1月24日(火)には山陰地方まで南下していたのに比べれば、東北地方までしか南下しません。

 とはいっても、1月24日(火)前後の寒気南下が記録的であっただけであり、かなり強い寒気の南下にかわりはありません。

 日本海側を中心に再び広い範囲で強い雪が降り、荒れた天気となりそうです。

 週間天気予報をみても、少し気温が高くなる日があっても、しばらくは、ほとんどの日で厳しい寒さが続くという予報です(図5)。

図5 各地の週間天気予報(数字は最低気温)
図5 各地の週間天気予報(数字は最低気温)

 札幌の最低気温は氷点下10度以下の日が多く、東日本太平洋側では0度前後の日が続きます。

 気象庁が発表する気温の観測や予報は、地上から1.5メートルの高さで、一定の条件の下で測った気温ですので、各家庭の水道管のある場所によっては、これより低い気温となります。

 水道管は気温が氷点下になったからといって直ちに凍るわけではありませんが、最低気温が氷点下の日が続くと、どんどん水道管が凍りやすくなります。

 氷点下4度以下の日が3日以上続くと、水道管が凍結するおそれがあるといわれていますので、最低気温が前日より高い場合でも油断できません。

 水道管が凍らなかった今日の最低気温より、明日の最低気温のほうが高いので安心ということにはならないのです。

 目まぐるしく変わる寒い天気が続きますので、最新の気象情報を入手し、体調管理に努めるとともに、水道管凍結のおそれが地方では十分警戒してください。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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