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日本の東の強い高気圧 前線がゆっくり通過で大雨の週明け

饒村曜気象予報士
予想天気図(5月13日9時の予想)

前線通過で大雨の週明け

 週明けの令和6年(2024年)5月13日は、オホーツク海にある低気圧からのびる寒冷前線が北日本を通過し、また、別の前線が西日本から東日本を通過する見込みです(タイトル画像)。

 地上付近では、前線に向かって暖かくて湿った空気が流入するため、大気が非常に不安定となっており、九州北部を除いて、ほぼ全国的に雷を伴った雨となる見込みです。

 九州南部と中国・四国、近畿は午前中を中心に雨で、雷を伴って非常に激しく降る所もある見込みです。

 また、東日本~北日本は雨で、太平洋側を中心に雷を伴って非常に激しく降る所もあるでしょう(図1)。

図1 雨と風の分布予想(5月13日6時の予想)
図1 雨と風の分布予想(5月13日6時の予想)

 さらに、南西諸島も雨で、雷を伴って非常に激しく降る所もある見込みです。

 24時間予想降水量は、静岡県を中心とした東海地方で250ミリ、関東甲信地方、四国地方でも180ミリと予想されていますが、日本の東の高気圧の勢力が強く、前線の東進スピードが遅くなり、降雨時間が長くなって大雨となるおそれもあります(図2)。

図2 24時間予想降水量(5月13時0時から24時までの24時間)
図2 24時間予想降水量(5月13時0時から24時までの24時間)

 南西諸島~北日本では、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒し、落雷や竜巻などの激しい突風に注意してください。

今週は気温高め 

 令和6年(2024年)は、ゴールデンウィークの最初と最後で季節外れの暖かさとなり、5月5日のこどもの日には、最高気温が30度以上の真夏日を観測したのが116地点(気温を観測している全国914地点の約13パーセント)、最高気温が25度以上の夏日を観測したのが524地点(約57パーセント)もありました(図3)。

図3 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移 
図3 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移 

 5月11日にも夏日が493地点(約54パーセント)ありましたので、これに比べれば、5月12日に観測した夏日177地点(約19パーセント)や、5月13日に予想される夏日56地点(約6パーセント)はかなり少ないようにかんじますが、これで平年並み位です。

 高気圧の勢力が強いということは、前線の移動を遅くして大雨の可能性もあります。

 東京の最高気温の推移をみると、雨の5月13日は平年並みですが、14日以降は平年より高い日が続く見込みです(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(5月13日以降はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(5月13日以降はウェザーマップの予報)

 最低気温も今週半ばごろに平年並みとなる日もありますが、ほとんどの日で平年を上回っています。

 紫外線が一番強いのは、太陽が真上に近い所を通るようになる6月21日の夏至のころの晴れた日です。夏至の前の5月から6月は、夏至のあとの7月から8月に比べて気温が低いことから、長時間屋外にいて多くの紫外線を浴びがちです。

 紫外線対策が特に必要なのは、暑くて長時間屋外にいることが苦になる真夏より、屋外にいることが心地よい、これから夏至までの晴れた日です。

 大雨のあとは、熱中症、紫外線と、気象情報に注意し、警戒してください。

そろそろ梅雨入り

 ウェザーマップが発表している16日先までの天気予報によると、今週から来週初めの東京は、お日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が多い予報です(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 ただ、来週の半ば以降、降水の有無の信頼度が5段階で1番低いEや、2番目に低いDが多い予報ですが、傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)が多い予報となっています。

 関東甲信の梅雨入りの平年は6月7日ですので、東京では、そろそろ「走り梅雨」になるかもしれません。

 梅雨入りが早い沖縄地方で5月10日、奄美地方で5月12日が梅雨入りの平年ですが、今年はまだ梅雨入りしていませんので、沖縄・奄美地方の梅雨入りは平年より遅れています。

 ただ、平年が5月30日の九州南部では、来週は前線が停滞して黒雲マークや傘マークの日が続き、梅雨らしくなる見込みです(図6)。

図6 鹿児島の16日先までの天気予報
図6 鹿児島の16日先までの天気予報

 九州南部では「走り梅雨」ではなく、本番の梅雨入りが平年より早く、沖縄・奄美地方と同じころになるかもしれません。

 各地とも、梅雨入りまぢかですので、早めの防災対策が必要です。

タイトル画像の出典:気象庁ホームページ。

図1、図2、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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