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三連休の後は春の陽気で来週は再び強い寒気が南下

饒村曜気象予報士
成人の日の予想天気図(1月9日9時の予想)

移動性高気圧の通過

 昨年末から続いていた西高東低の冬型の気圧配置は、三連休を前にして高気圧と低気圧が交互に通過する気圧配置に変わりました。

 三連休初日の1月7日(土)は、南岸低気圧の通過によって西日本を中心に雨や標高の高い所では雪となり、横浜では未明にみぞれが降りました。

 みぞれは雪に分類されますので、横浜では1月7日に平年より23日遅い初雪を観測したことになります。

 連休2日目となる1月8日(日)は、移動性高気圧が東シナ海から西日本を進んでくる見込みです(図1)。

図1 予想天気図(1月8日9時の予想)
図1 予想天気図(1月8日9時の予想)

 このため、沖縄や西~北日本の太平洋側を中心に晴れる見込みです。

 山陰地方は午前中に雲が広がり弱い雨や雪の所もありますが、午後になると次第に晴れてきそうです。

 また、北陸から北日本の日本海側では雲に覆われますが、雪や雨の範囲は狭く、朝晩は真冬らしく冷えますが、昼間の気温はこの時期としては高い所が多い予想となっています。

 このため、最高気温が氷点下となる真冬日を観測する地点は少なくなりますが、最低気温が氷点下となる冬日を観測する地点はそれほど減らないと考えられます。

 気象庁では全国の915地点で気温を観測していますが、昨年12月19日は真冬日を297地点(全国の約32パーセント)で、冬日を728地点(全国の約80パーセント)で観測し、ともに、現時点での今冬の最多です。

 その後、年末から年始には強い寒波が南下し、真冬日の観測地点数は増えていますが、西日本から東日本の太平洋側の地方では、概ね晴れの天気が続き、気温は平年並みであったことから、12月19日の真冬日や冬日の観測地点数は超していません(図2)。

図2 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年1月7日)
図2 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年1月7日)

 逆に、それほど12月中旬の寒波は強かったのです。

 連休最終日となる1月9日(月・祝)の「成人の日」は、移動性高気圧が本州の南岸を通過する見込みです(タイトル画像参照)。

 このため、太平洋側を中心に青空が広がり、気温が高くなる見込みです。

春の陽気

 三連休の移動性高気圧が通過後、日本海北部の低気圧に向かって南から暖気が北上する日が続く見込みです。

図3 上空約1500メートルの気温分布予想(1月14日朝)
図3 上空約1500メートルの気温分布予想(1月14日朝)

 地上気温が20度以上となる目安は、上空約1500メートルの気温が12度以上ですが、1月14日(土)には西日本全域と東海・北陸地方にかかってきます(図3)。

 週後半には4月並みの所もある予想です。

 これまでに大雪となっている北陸や北日本の日本海側では10日(火)までは雨や雪が降りやすいものの、それ以降は晴れて気温は平年より大幅に高くなる予想です。

 多雪地帯で晴れて気温が上がると、なだれや屋根からの落雪などの事故が起こりやすくなりますが、その後に強い寒気がやってくると、融けた雪面が凍り、その上に雪が積もることで新雪雪崩が発生しやすくなります。

暖気北上の後の強い寒気南下

 1月14日(土)には、上空約1500メートルで0度の等温線は北海道南部まで北上していましたが、1月16日(月)には関東の南海上から九州南部まで南下しています(図4)。

図4 上空約1500メートルの気温分布予想(1月16日朝)
図4 上空約1500メートルの気温分布予想(1月16日朝)

 平地で雪が降る目安となる氷点下6度線も、関東北部から北陸地方まで南下しています。

 東京など東日本の太平洋側では平年並みまで寒くなる見込みです(図5)。

図5 東京の最高気温と最低気温の変化(1月8日~14日は気象庁、15日~23日はウェザーマップの予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の変化(1月8日~14日は気象庁、15日~23日はウェザーマップの予報)

 一年で一番寒い時期ですので、平年並みといっても寒く、この大きな寒暖差によって体調を崩しやすくなります。

 一方、札幌など、北日本や東日本の日本海側は平年よりも大幅に寒くなる予想です(図6)。

図6 札幌の最高気温と最低気温の変化(1月8日~14日は気象庁、15日~23日はウェザーマップの予報)
図6 札幌の最高気温と最低気温の変化(1月8日~14日は気象庁、15日~23日はウェザーマップの予報)

 積雪の一部が崩れる表層雪崩より、積雪全体が崩れる底雪崩のほうが危険と感じる人が多いと思いますが、危険なのは表層雪崩のほうです。

 確かに、底雪崩は破壊力が大きいのですが、発生場所はほぼ決まっており、雪間に割れ目やしわ、コブが生じるなど、発生の前兆が現れることが多いのです。

 これに対して、表層雪崩は、突然発生します。しかも、あまり雪崩が発生しない場所で発生したり、雪崩の走路が思わぬ場所まで達することもあります。

 過去の大きな雪崩による人的被害は、表層雪崩で発生しています。

 今回の様に多雪地帯で暖かくなった時は、その後の寒波に特に警戒が必要となります。

タイトル画像、図1の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図5、図6の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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