Yahoo!ニュース

東日本太平洋側から西日本太平洋側でさくら開花 開花後の気温が低いと長く楽しめるが今年は平年並み

饒村曜気象予報士
さくらの開花(東京都杉並区にて筆者撮影)

移動性高気圧

 関東を中心に寒さをもたらした南岸低気圧が東に去り、日本列島は大陸からの移動性高気圧におおわれてきました(図1)。

図1 予想天気図(3月24日9時の予想)
図1 予想天気図(3月24日9時の予想)

 このため3月24日は、北日本は雲が多く、所々で雨や雪が降りますが、西~東日本と南西諸島はおおむね晴れる見込みです。

 最高気温はほぼ全国的に平年並みの気温の見込みです。

 平年並みといっても、3月下旬の平年並みです。

 1月下旬頃の寒さに比べると、かなり気温が高くなっており、春はいつもの通りやってきて、さくらの季節となっています。

さくらの開花

 気象庁の有人官署では、構内に植えられている、あるいは近くの公園等に植えられているさくらのうち、特定の木を標本木とし、標本木で5~6輪開いた状態を開花、80%以上開いた状態を満開として、同じ条件で長期間継続して観測を行っています。

 標本木が年をとるなどで、周囲のさくらとの間で差がでるようになると、次の標本木の候補を決め、比較観測をしばらく行ってから新しい標本木に変えています。

 こうして、「平年より○○日早い」などの比較情報を発表しています。

 令和4年(2022年)は、3月17日に福岡でさくらが開花したと発表し、「全国で最も早い開花宣言」と大きく報道されました。

 以後、18日には宮崎、19日には高知と佐賀でさくらが開花しました。

 過去5年間で、ソメイヨシノの開花が早い地方のベスト3の地点(タイ記録を含むので21地点)をみると、東京が4回、福岡と長崎が3回となっています(表1)。

表1 各年の早いソメイヨシノの開花ベスト3(タイを含む)
表1 各年の早いソメイヨシノの開花ベスト3(タイを含む)

 近年は、東京がトップ争いに加わってきており、令和4年(2022年)の東京の開花も、4位の3月20日でした。

 ただ、これらの話は沖縄・奄美地方のヒカンザクラを除き、気象庁の有人官署で観測がある場所についてのものです。

 那覇で2月1日に満開となるなど、沖縄・奄美地方のさくらの季節は終わっています。

開花から満開まで

 さくらの開花から花芽の5割が花開いた状態が「五分咲き」ですが、8割が花開いた状態を「八分咲き」とはいわずに「満開」としています。

 「八分咲き」を満開としているのは、最初に開花した花びらが散り始めることや、さくらが一番きれいに見える状態が「八分咲き」であることによるとされています。

 平年値でみると、開花から満開までの期間は、九州では10日前後、近畿・中国・四国では8日前後、東海・関東は7日前後、北陸・東北は5日前後、北海道では4日前後と北に行くほど期間が短くなります。

 一般的に、気温が低いとさくらの開花から満開までの期間が長くなります。

 平年より気温が高く推移する年は、早く満開となり散ってしまいますので、さくらを楽しむ期間が短くなり、逆に平年より気温が低い年はさくらを楽しむ期間が長くなります。

 ウェザーマップのさくら満開予想日によると、令和4年の開花から満開の期間は8日前後となっています(表2)。

表2 各地のさくらの開花日(気象庁による)と満開予想日(ウェザーマップによる)
表2 各地のさくらの開花日(気象庁による)と満開予想日(ウェザーマップによる)

 令和4年(2022年)は、九州では開花後に暖かい日が多かったことから開花から満開までの期間が平年より若干短い見込みです。

 また、開花直後に強い寒気が南下してきた関東地方も、週末にむけて暖かくなってきますが、開花から満開までの期間が平年並みか平年より若干長くなりそうです(図2)。

図2 東京のさくら見頃予想と天気予報(3月27日~4月2日)
図2 東京のさくら見頃予想と天気予報(3月27日~4月2日)

 東京のさくらの見頃である、3月27日~4月3日の天気予報をみると、3月28日~30日はお日様マーク(晴れ)か白雲マーク(雨の可能性がほとんどない曇り)で、しかも降水の有無の信頼度は、5段階で一番高いAです。

 3月31日以降は降水の有無の信頼度が一番低いEか、二番目に低いDですが、黒雲マーク(降水の可能性がある曇り)の日が続き、4月2日には傘マーク(雨)の予報となっています。

 関東地方は、満開直後の花見のほうが良いかもしれません。

タイトル画像の出典:東京都杉並区にて筆者撮影。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、表1、表2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事