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北日本の春はそこまで 西高東低の気圧配置から移動性高気圧東進

饒村曜気象予報士
減ってきた日本海の雪雲(2022年2月24日15時00分)

今週の寒気

 今週は西高東低の冬型の気圧配置が続き、強い寒気が南下して居座りました。

このため、全国的に寒くなり、2月21日は最高気温が氷点下を観測したのが気温を観測している914地点のうちの329地点(36パーセント)と、今年に入って2番目の多さでした(図1)。

図1 真冬日と冬日の観測地点数
図1 真冬日と冬日の観測地点数

 また、冬日は2月22日に766地点(84パーセント)と、これも今年に入って2番目の多さでした。

 このため、北日本から北陸では記録的な大雪となり、札幌では平年よりかなり多い積雪状態が続います(図2)。

図2 札幌の積雪(令和4年(2022年)1月~2月)
図2 札幌の積雪(令和4年(2022年)1月~2月)

 また、新千歳空港では2月23日に最深積雪123センチと、これまでの記録である77センチ(平成20年(2008年)2月28日)を大きく上回る積雪が続きました。

 このため、北海道内では鉄道も航空路も欠航が相次ぎ、しかも長引きました。

週末からは春の兆し

 週末にかけて冬型の気圧配置が弱まり、大陸から移動性高気圧が東進してきます(図3)。

図3 予想天気図(2月25日9時の予想)
図3 予想天気図(2月25日9時の予想)

 このため、日本海側の雪は次第に弱まり、降る範囲も狭まってくるでしょう。

 全国的に気温が上がってきますが、ここ数日の大雪で積雪が多くなっている地域では、引続き屋根からの落雪やなだれに注意してください。

 週末は西日本や東日本で最高気温が15度くらいまで上がる所が多くなるでしょう。

 厳しい寒さが続いていた札幌も、週末以降は平年より気温が高い日が多くなる見込みです。

 札幌の最高気温の推移をみると、1月の末に非常に寒くなりましたが、2月になると平年並みか平年より高い日が続き、今週には平年より気温が低くなっています(図4)。

図4 札幌の最高気温と最低気温の推移(2月25日~3月3日は気象庁、3月4日~12日はウェザーマップの予報)
図4 札幌の最高気温と最低気温の推移(2月25日~3月3日は気象庁、3月4日~12日はウェザーマップの予報)

 ただ今週末以降は平年より気温が高い日が多くなりそうです。

 そして、最高気温が氷点下となる日もなくなり、真冬日とは卒業しそうです。

 また、最低気温は、2月に入ると平年より高い日と平年より低い日が交互に現れるようになりましたが、今週末以降は平年より高い日が多くなりそうです。

 とはいえ、氷点下ですので、冬日はしばらく続きそうです。

 気象庁が2月24日に発表した一ヶ月予報によると、北日本は、来週は平年より気温が高くなり、その後平年並みに戻った後、再び平年並みか平年より高くなる見込みです(図5)。

図5 一か月予報(2月24日発表)
図5 一か月予報(2月24日発表)

 一気に暖かい春というわけではありませんが、3歩進んで1歩戻り、その後2歩前身して暖かくなる予報です。

 北国にも、春の陽気が確実に近づいています。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、図5の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

図3の出典:気象庁ホームページ。

図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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