台風5号が北上

 台風5号が6月23日9時にカロリン諸島で発生しました。

 気象衛星画像では、南西諸島から東日本の南海上へ北東に帯状に延びる雲の南側に台風5号の円形の雲があります(タイトル画像参照)。

 この台風5号は、北上するにつれ海面水温が低い海域に入ってきます。

 まだ6月ですので、小笠原諸島付近の海面水温は、台風が発達する目安の温度である27度以下ですので、最盛期は、暴風域(最大風速が毎秒25メートル以上の領域)を伴っているものの中心気圧は990ヘクトパスカルと、特に発達する台風ではありません(図1)。

図1 台風5号の進路予報と海面水温(6月24日3時)
図1 台風5号の進路予報と海面水温(6月24日3時)

 台風の進路予報は、最新のものをお使いください

 しかし、日本列島の南海上には梅雨前線があり、「台風と前線」という危険な組み合わせです(図2)。

図2 予想天気図(6月25日9時の予想)
図2 予想天気図(6月25日9時の予想)

 梅雨前線に向かって、台風周辺の暖かくて湿った空気が流入し、広い範囲で大雨が降って大災害が発生することがあるからです。

 台風が発達しているときは言うまでもありませんが、台風が発達していなくても、大災害が発生することがあります。

 今から60年前もそうでした。

昭和36年(1961年)梅雨前線豪雨

 今から60年前、昭和36年(1961年)6月23日に西日本の南海上にあった熱帯低気圧が北上するとともに、南海上にあった梅雨前線も活動が活発化しながら北上しています。

 そして、24日からは本州南岸に停滞し、広い範囲で大雨となっています(図3)。

図3 昭和36年(1961年)梅雨前線豪雨時の地上天気図(6月25日9時)
図3 昭和36年(1961年)梅雨前線豪雨時の地上天気図(6月25日9時)

 熱帯低気圧は、26日21時に四国沖で台風6号となり、さらに梅雨前線を刺激して四国、近畿、東海、関東甲信、北陸の各地方で大雨となっています(図4)。

図4 昭和36年の台風6号の経路図
図4 昭和36年の台風6号の経路図

 また、7月3日から5日は、東北地方や九州地方でも大雨となり、北海道を除く全国各地で死者・行方不明者357名(長野県136名)などの大きな被害が発生しました。

 特に、長野県では天竜川が氾濫したほか、伊那谷地域を中心に多数の土砂崩れが発生しました。

 気象庁では、この時の6月24日から7月10日の大雨を「昭和36年梅雨前線豪雨」と命名しています。

 それほど、顕著な災害であったわけです。

 台風6号は、最盛期でも996ヘクトパスカルと、発達した台風ではなかったのですが、梅雨前線を刺激し、広い範囲で大雨となっています。

 このように、台風の勢力が弱くても、台風から離れている地域でも、大雨が降って大災害が発生することがあります。

 現在、マリアナ諸島を北上中の台風5号も、この危険な組み合わせです。

 ただ、台風5号が早めに東寄りに向きを変え、日本列島から離れることになれば、危険な組み合わせにはならないこともあります。

 いずれにしても、最新の気象情報の入手に努め、警戒してください。

タイトル画像、図1の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図3、図4の出典:気象庁ホームページ。