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梅雨の中休みから大雨と熱中症が心配な梅雨後期へ

饒村曜気象予報士
梅雨の中休み(6月24日12時)

梅雨の中休み

 令和2年(2020年)の梅雨は、6月10から11日に関東甲信地方など広い範囲で梅雨入りし、沖縄では、平年よりかなり早い6月12日に梅雨明けしました(表)。

表 令和2年(2020年)の梅雨
表 令和2年(2020年)の梅雨

 東北北部が梅雨入りしたのは6月14日で、これ以降は、梅雨がないとされる北海道、梅雨明けした沖縄を除く全国で梅雨となりました。

 この時の梅雨は、気温が高くて湿度が高い状態で、梅雨初期というより梅雨末期のようでした。

 その後、北から寒気が入り、梅雨前線は梅雨の明けた沖縄付近まで南下しています。

 このため、全国的に梅雨寒となり、日最高気温が25度以上の夏日や、30度以上の真夏日を観測した地点の数は、上・中旬に比べ、下旬のほうが少なくなっています。

 気象庁で気温を観測しているのは全国921地点ですが、今年に入って夏日が一番多かったのは6月10日の786地点(85パーセント)です。

 また、真夏日が一番多かったのも6月10日で、354地点(38パーセント)です。

 つまり、多くの地域で梅雨入りした頃が、現時点で一番暑かったのです(図1)。 

図1 令和2年(2020年)の真夏日と夏日の観測地点数
図1 令和2年(2020年)の真夏日と夏日の観測地点数

再び梅雨空

 梅雨前線が沖縄付近にまで南下し、梅雨の中休みになったといっても、東日本と西日本では、その様相が少し違いました。

 東日本は気温が低い日が続き、雨が降るときはシトシト降りでしたが、西日本はすぐに晴れて気温が上昇し、雨が降る時はザッと降りでした。

 今週後半からは梅雨前線が北上し、ほぼ全国的に梅雨後期の梅雨空となる見込みです(図2)。

図2 予想天気図(6月25日9時の予想)
図2 予想天気図(6月25日9時の予想)

 梅雨後期は、気温が高くて湿度も高く、大雨の可能性が高くなります。

 気象庁は、早期注意情報を発表し、5日先までに警報を発表する可能性を「高」と「中」の2段階で表示しています。

 これによると、6月25日は九州北部と中国地方、および、千葉県で大雨警報を発表する可能性が「中」です。

 また、26日は長崎県が「高」、九州北部と中国・北陸で「中」で、さらに、27日は北陸で「中」です(図3)。

図3 早期注意情報
図3 早期注意情報

 九州北部と日本海側では大雨の可能性がありますので、最新の気象情報の入手に努め、警戒してください。

熱中症にも警戒

 梅雨後期は、大雨だけでなく、暑くて湿度が高いことから、熱中症にも警戒が必要です。

 新型コロナウィルスの出現に伴い、感染症防止の3つの基本である「身体的距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗いや3密(密集、密接、密閉)を避ける」等の「新しい生活様式」が求められています。

 マスク着用は、熱中症の危険性を高めます。 

 図4は、東京の最高気温と最低気温の予想を含めた推移です。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(6月25日~7月1日は気象庁、7月2日~10日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(6月25日~7月1日は気象庁、7月2日~10日はウェザーマップの予報)

 これによると、25日以降、雨や曇りの日が続いても最高気温が30度前後と、平年より高い日が続きます。

 週初めの梅雨寒の頃よりも熱中症にかかる可能性が高い日が続きます。

 図5は、ウェザーマップの発表した東京の16日先までの天気予報です。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 これによると、6月25日以降、傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が、お日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の日が多くなっています。

 降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEが多い予報ですが、しばらくは雨や曇りの梅雨空、それも気温が高くて湿った日が続く予報です。

 大阪も事情は同じです(図6)。

図6 大阪の最高気温と最低気温の推移(6月25日~7月1日は気象庁、7月2日~10日はウェザーマップの予報)
図6 大阪の最高気温と最低気温の推移(6月25日~7月1日は気象庁、7月2日~10日はウェザーマップの予報)

 梅雨寒の期間は短く、気温が高い梅雨の中休みにかわり熱中症の可能性が高くなっていますが、25日以降、雨や曇りの日が続いても最高気温が30度前後と、熱中症にかかる可能性が高い日が、引き続きます。

 令和2年(2020年)5月に、環境省と厚生労働省は「新しい生活様式」における熱中症予防行動をまとめています。

 これによると、気温や湿度の高い中でのマスクの着用は熱中症の危険が高まるため、屋外では人と十分な距離(2m以上)を取ったうえで、マスクを外すことを求めています。

タイトル画像、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図2、表の出典:気象庁ホームページ。

図4、図6は気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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