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全国的に初夏のよう 札幌では最も早い夏日(7月中旬並み)の予想

饒村曜気象予報士
札幌市時計台(写真:イメージマート)

移動性高気圧と晴天

 令和6年(2024年)4月14日の日本列島は、大きな移動性高気圧に覆われ、晴れて気温が上昇した所が多くなりました(図1)。 

図1 日本列島を覆う大きな高気圧と晴天域(令和6年(2024年)4月14日15時)
図1 日本列島を覆う大きな高気圧と晴天域(令和6年(2024年)4月14日15時)

 全国で市場気温が高かったのは、沖縄県・波照間の30.1度と、最高気温が30度以上の真夏日となりました。

 真夏日になったのは、波照間だけでしたが、各地で気温が上昇し、最高気温が25度以上の夏日を観測したのが278地点(気温を観測している914地点の約30パーセント)でした。

 北海道でも、池田(26.4度)、足寄(26.2度)、帯広(26.1度)、糠内(25.4度)の4地点で夏日となりました。

 これに対し、最低気温が0度未満の冬日は13地点(約1パーセント)と、数日前に比べれば激減し、様変わりです(図2)。

図2 全国の冬日、夏日、真夏日の観測地点数の推移(4月15日以降は予想)
図2 全国の冬日、夏日、真夏日の観測地点数の推移(4月15日以降は予想)

 東シナ海の前線に伴う雲域が近づいていますが、移動性高気圧の動きが遅く、15日も、晴れて気温が上昇する所が多い見込みです。

 九州と四国では曇りまたは雨で、所により雷を伴うため、全国で夏日を観測する地点数が14日より多少減りますが、近畿~東日本、北日本は概ね晴れるため、最高気温は、全国的に平年並みか平年より高く、東日本~北日本ではかなり高くなるところもある見込みです(図3)。

図3 4月15日の天気予報(数字は左が最高気温、右が最低気温)
図3 4月15日の天気予報(数字は左が最高気温、右が最低気温)

 4月15日の最高気温は、近畿から東北地方で25度以上の真夏日となる所が多く、秋田県・横手、新潟県・長岡、沖縄県・与那国島と石垣島では29度の予想です(図4)。

図4 最高気温の分布予報(4月15日の予報)
図4 最高気温の分布予報(4月15日の予報)

 ひょっとしたら、この中から最高気温が30度以上という真夏日を観測する地点があるかもしれません。

 そして、札幌、東京、大阪でも最高気温の予想が25度となっており、夏日の予想です。

記録的に早い札幌の夏日

 4月15日に大阪で25度を観測するとなると、平年より5度高い5月中旬並み、東京で25度を観測するとなると、平年より6度高い5月下旬並みということになります。

 ただ、札幌で25度を観測するとなると、これは、平年より14度も高い記録的な暑さで、7月中旬並みということになります。

 また、札幌では、明治9年(1876年)9月の観測開始以来、148年間で最も早い夏日ということになります。

 これまでの記録は、平成10年(1998年)の4月20日ですので、これを5日更新することになります(表)。

表 札幌の早い夏日の記録
表 札幌の早い夏日の記録

【(追記)4月15日13時20分 】

 4月15日は、13時10分現在、すでに新潟県・三条で31.6度の真夏日を観測するなど、各地で気温が上昇しています。

 札幌も、26.0度を観測しており、歴代最早の夏日の記録を更新しました。また、すでに4月として3位の高温記録です。そして、東京も26.1度と夏日になっています。

記録的な暖かさの平成10年(1998年)4月

 札幌の日最高気温の記録を持っている平成10年(1998年)は、記録的な暖かさの4月となった年で、4月20日から23日にかけて太平洋高気圧に覆われ、北海道から九州にかけての晴天で、気温の高い日が続きました。

 そして、京都府・舞鶴で30.9度、前橋で30.7度を観測するなど、フェーン現象が発生した日本海側や内陸部では、最高気温が30度以上の真夏日を観測しています。

 また、東京でも、4月20日から23日まで、4日連続で夏日を観測しました。

 そして、24日は鹿児島県で日雨量が200ミリを超える雷雨となっています。

 また、南下した寒冷前線が通過した北海道では、稚内で降雪を観測するなど、最高気温が一桁という寒さ(25日の札幌の最高気温8.2度)となっています。

 ただ、今年、令和6年(2024年)の場合は、平成10年(1998年)のように極端にはならないと思われます。

 各地の10日間予報をみると、今週末の札幌の最高気温は13度です。下がって平年並みです(図5)。

図5 各地の10日間予報(4月15~21日は気象庁、22~24日はウェザーマップの予報で、数字はともに最高気温)
図5 各地の10日間予報(4月15~21日は気象庁、22~24日はウェザーマップの予報で、数字はともに最高気温)

 また、気象庁の早期注意情報によると、今後5日間で大雨警報を発表する可能性は示されていません。

 とはいえ、来週は西日本から傘マーク(雨)の日が続くようになってきます。

 季節は、着実に夏に向かって進んでおり、そろそろ、走り梅雨の季節が始まりそうです。

図1、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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