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大雨等に警戒のあとは、黄砂とPM2.5に注意

饒村曜気象予報士
黄砂で汚れた自動車(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

週末は大雨に警戒

 令和2年(2020年)4月18日(土)は、上空に強い寒気を伴った低気圧が黄海から日本海に進み、また、別の低気圧が西日本の太平洋側で発生し、発達しながら東北東へ進む見込みです(図1)。

図1 地上天気図(4月17日15時)と予想天気図(4月18日9時の予想)
図1 地上天気図(4月17日15時)と予想天気図(4月18日9時の予想)

 そして、低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、西日本から東日本では大気の状態が非常に不安定となる見込みです。

 東北~中国・四国の広い範囲で雨となり、東日本から東日本太平洋側では大雨のおそれがあり、風も強くなります(図2)。

図2 雨と風の分布予報(4月18日9時の予報)
図2 雨と風の分布予報(4月18日9時の予報)

 土砂災害や低い土地の浸水などに警戒・注意してくだい。

 また、西日本や東日本では竜巻などの激しい突風や降ひょうにも注意してください。

移動性高気圧での心配

 低気圧が通過した4月19日(日)は、移動性高気圧が日本列島を通過しますので、西日本から晴天域が広がってきます(図3)。

図3 予想天気図(4月19日9時の予想)
図3 予想天気図(4月19日9時の予想)

 しかし、心配なこともあります。

 黄海から日本海へ進んだ低気圧が中国大陸にあったとき、地表の砂が低気圧によって巻き上げられ、低気圧の上昇流によって上空に運ばれました。

 それが、上空を流れている強い西風によって日本付近へ運ばれ、高気圧の下降流によって地表付近へ降りてくるからです。

 つまり、黄砂が発生するのです。

 気象庁の黄砂予報によると、4月17日(金)9時に中国大陸の山東半島付近にあった黄砂(図4の一番左の図)は、18日(土)9時に西日本にやってきます(図4の一番右の図)。

図4 気象庁による地表付近の黄砂の濃度予報
図4 気象庁による地表付近の黄砂の濃度予報

 東日本から東北太平洋側で大雨の心配があるときに、西日本では黄砂の心配があります。

 洗濯物に付着したり、視程が悪くなって交通障害がおきる可能性がありますので、注意が必要です。

 中国からやってくるものは黄砂だけではありません。

 直径が2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質である「PM2.5」も飛来してきます(図5)。

図5 地上付近のPM2.5の分布予想(4月18日9時の予想、SPRINTARS開発チーム・ウェザーマップ)
図5 地上付近のPM2.5の分布予想(4月18日9時の予想、SPRINTARS開発チーム・ウェザーマップ)

 PM2.5は、あまりにも小さな微粒子であるため、肺の奥まで入りますので、健康への影響が懸念されている物質です。

 PM2.5は、自然起源のものもありますが、自動車の排ガスや工場からの排気など人為起源が多いとされています。

 新型コロナウィルスの影響で中国の経済活動が減速し、PM2.5も減っていることが考えられますが、それでも飛来が予測されています。

 大雨の次は黄砂にPM2.5と、注意すべきことが続く週末です。

図1、図3、図4の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:ウェザーマップ提供。

図5の出典:SPRINTARS開発チーム・ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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