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来週は半ばを中心に春の陽気、その前に

饒村曜気象予報士
72時間予想降雪量(1月4日3時~7日3時の予想)

続いてきた冬型の気圧入り

 気象災害が多かった令和元年(2019年)を象徴するかのように、12月は寒暖の変化が大きい月でした。

 しかし、新年、令和2年(2020年)になってからは、北日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置となって多少の強弱はありますが、寒気の南下が続いています。

 このため、日本海側の地方では曇り主体で雪や雨が続き、太平洋側の地方では晴れが続くという天気が続いています。

 今後、72時間に多いところ(新潟・群馬県境付近)で80センチの降雪がある見込みです(タイトル画像参照)。

 12月までとは様変わりです。

 そして、図1の日本海にある低気圧のように、上空に寒気を伴った低気圧が通過するときは、大気が不安定になって一時的に雪や雨が強まり、強い風が吹きましたし、4日(土)もそうなる予報です。

図1 予想天気図(1月4日9時の予想)
図1 予想天気図(1月4日9時の予想)

 ただ、今冬の寒気南下は北日本主体で、なかなか東日本や西日本に南下してきません。

 福岡では、初冬からこれまで気温の高い日が続き、寒気が南下して気温が下がったといっても平年並みでした。

 新年に入っても、最高気温、最低気温ともに元日は平年より低かったものの、その後は、10日間以上も平年より高い日が続く予報です(図2)。

図2 12月1日以降の福岡の気温の推移(1月4~10日は気象庁、1月11~19日はウェザーマップの予報)
図2 12月1日以降の福岡の気温の推移(1月4~10日は気象庁、1月11~19日はウェザーマップの予報)

寒気は北日本どまり

 新年になってからの札幌と東京、福岡の気温予報を比べると、今冬の寒気南下の違いがはっきりします(図3)。

図3 札幌・東京・福岡の1月の気温(4~10日は気象庁、11~19日はウェザーマップの予報)
図3 札幌・東京・福岡の1月の気温(4~10日は気象庁、11~19日はウェザーマップの予報)

 図3では、おのおのの地点について、最高気温と最低気温の推移を平年値のほぼ直線とともに描いたものです。

 札幌では来週前半まで最高気温が平年を下回っていますが、最低気温は平年を若干上回っています。

 そして、週後半以降は最高気温、最低気温ともにも平年を上回ってきます。

 これに対し、福岡は来週前半でも、最高気温、最低気温ともに平年を上回り、週後半には、かなり上回って、桜が咲くころの春の陽気になります。

 東京は札幌と福岡の中間のような変化です。

冬型の気圧配置が弱まると

 西高東低の冬型の気圧配置が弱まると、日本付近は低気圧が通過しやすくなります。

 低気圧が通過する時には、南から暖気を持ち込みます。

 低気圧の通過する場所によって、日本海低気圧や南岸低気圧、あるいは、両方とも存在する二つ玉低気圧に分けられますが、おのおの暖気の入り方が違います。

 真冬なら雪という予報が比較的簡単に出せますが、低気圧によって持ち込まれた暖気の程度によって、雨に変わるのか、雨に変わらないまでも湿った雪として降るのか、そのまま雪として降るのか、気象予報士なかせの難しい予報です。

 今のところ、日本海低気圧の可能性が高く、山沿いは雪ですが、東日本の太平洋側から西日本の広い範囲では雨として降る見込みです(図4)。

図4 雨雪判別(1月7日9時の予想) 
図4 雨雪判別(1月7日9時の予想) 

 ただ、これまで南下してきた寒気が残っていると、みぞれや雪の範囲が広がりますので、最新の気象情報の入手に努めてください。

 気象庁が1月2日に発表した1か月予報によれば、北日本では「平年並みか平年より高い」ものの、その他の地方は、軒並み「平年より高い」予報となっています(図5)。

図5 気象庁が1月2日に発表した1か月予報
図5 気象庁が1月2日に発表した1か月予報

 また、気象庁が12月25日に発表した3か月予報でも、北日本では「平年並みか平年より高い」、その他の地方は「平年より高い」という予報となっています

 来週初めに日本付近を低気圧が通過し、暖気を持ち込んだ後は、寒気がしばらく南下しない見込みです。

 西日本で来週の半ばに春の陽気となるなど、気温が平年より高い日が続きます。

 ちょっと早すぎますが、来週初めの低気圧は、「春を告げる低気圧」といえるかもしれません。

図1、図5の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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