Yahoo!ニュース

台風17号が日本海へ 温帯低気圧に変わりつつある台風は加速する

饒村曜気象予報士
九州に接近中の台風17号の雲(9月22日9時00分)

台風17号の北上

 大型で強い台風12号は東シナ海を北上しており、22日(日)夜には対馬海峡付近に達する見込みです(図1)。

図1 台風17号の進路予報(9月22日6時)
図1 台風17号の進路予報(9月22日6時)

台風17号の進路予報については、最新の台風情報をご利用ください

 沖縄地方や奄美地方の海上では非常に強い風が吹き、大しけとなっています。

 台風の北上に伴い、22日(日)から23日(月)にかけて西日本の広い範囲で非常に強い風が吹き、大しけとなる所があるでしょう。

 とくに九州北部では、猛烈な風や猛烈なしけとなる所がある見込みです。暴風やうねりを伴った高波に厳重に警戒してください(図2)。

図2 雨と風の予報(9月22日15時)
図2 雨と風の予報(9月22日15時)

 福岡地方が暴風域(風速が毎秒25メートル以上の範囲)に入る確率は、夕方から急に高くなり、夜遅く(21時~24時)では、ほぼ100パーセントの確率です(図3)。

図3 福岡地方が暴風域に入る確率
図3 福岡地方が暴風域に入る確率

 9月22日(日)の西日本以外の天気予報は、北海道と沖縄は概ね晴れる見込みですが、東日本は曇りで昼過ぎから雨の所が多くなっていますが、夜になると強く降るところもありますので、注意して下さい。

台風の温帯低気圧化(温低化)

 台風17号は、23日から24日にかけて、温帯低気圧の性質を帯びつつ勢力を保って日本海を進み、北日本に上陸する前に台風が温帯的圧に変わる見込みです(図4)。

図4 予想天気図(9月23日21時)
図4 予想天気図(9月23日21時)

 昔の調査ですが、台風が熱帯低気圧に変わるのは全体の約66パーセント(熱帯低気圧に変わったあとに温帯低気圧にかわったものを含む)、台風が温帯低気圧に変わるのが全体の約32パーセント、台風のまま統計180℃以東の気象庁担当範囲外にでるのが2パーセントです(「続・台風物語(饒村曜)」より)。

 台風が温帯低気圧に変わった個数を月別に集計すると、一番多いのが10月です。

 台風の発生数は、8月、9月、7月の順であることから、10月は台風が温帯低気圧に変わりやすく、7月は逆にほとんど変わらないと言うことができます(図5)。

図5 直接温帯低気圧に変わった台風の月別分布
図5 直接温帯低気圧に変わった台風の月別分布

 また、温帯低気圧に変わった緯度を平均すると、8月が北緯43度と一番高緯度で、季節が進むにつれて緯度が下がってきます。

 台風17号は、9月の平均である、北緯40度付近で温帯低気圧に変わりそうです。

台風が温帯低気圧に変わるときの注意点

 台風の衰弱期には、中心付近の最大風速が次第に弱まるのが普通ですが、温帯低気圧に変わったものの中には、寒気の影響を受けて再発達するものもあります。

 また、大雨等により大きな災害をもたらすことがあり、引き続き注意が必要です。

 気象庁が発表する情報では、「温帯低気圧に変わった」という表現を常にしています

 「温帯低気圧に衰えた」と言わないのは、いつも衰えたわけではないからで、災害が発生する可能性が残っているからです。

 一般的に、台風が温帯低気圧に変わるときは、「台風の進行速度が加速し、その後減速しながら温帯低気圧にかわります(図6)。

図6 台風が低気圧に変わるときの進行速度の変化(イメージ図)
図6 台風が低気圧に変わるときの進行速度の変化(イメージ図)

 このことは、温帯低気圧にかわりかけの台風が接近する北日本にとっては、非常に危険な速度変化です。

 台風から離れているといっても、加速しながら接近しますので、油断していると、あっというまに荒れた天気となります。

 そして、接近した後に減速しますので、荒れた天気が長続きします。

 台風17号から変わった温帯低気圧は、千島近海で発達する見込みです。

 台風17号が接近する西日本だけでなく、日本中で警戒が必要です。

 「台風17号は、腐ってもタイ」ですので、最後の最後まで油断することはできません。

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3、図4の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:饒村曜(平成5年(1993年))、続・台風物語、日本気象協会。

図6の出典:著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事