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台風13号を皮切りに台風ラッシュの始まりか

饒村曜気象予報士
9月3日15時の低緯度地方の雲の渦巻き(左端から台風14号、台風13号に対応)

台風13号の北上

 沖縄の南にある台風13号は、自転車並みの速度で北上しています。

 この台風は今後も発達しながら北寄りに進み、4日から5日にかけて、沖縄県の先島諸島にかなり接近する見込みです(図1)。

図1 台風の進路予報(9月3日21時の予報)
図1 台風の進路予報(9月3日21時の予報)

 台風予報は最新のものをお使いください。

 台風13号の接近する先島諸島では、3日夕方から風が強く吹き、4日から5日にかけて暴風となる見込みです(図2)。

図2 台風13号の雨と風の分布予報(9月5日9時)
図2 台風13号の雨と風の分布予報(9月5日9時)

 また、沖縄本島地方も台風の進路によっては5日から6日に暴風となるおそれがあります。沖縄近海は大しけとなる見込みですので、うねりを伴った高波に厳重に警戒してください。

 さらに、台風に吹き込む南東風によって、西日本の太平洋側の南東斜面では強い雨が降る見込みですので、台風から離れていても注意が必要です。

次に接近する台風

 南シナ海で9月3日3時に発生した台風14号は、東進して台湾海峡を通過、週明けの8日には東シナ海に入ると思われていましたが、発生18時間後の3日21時に熱帯低気圧に変わりました。

 しかし、小笠原近海では、別の熱帯低気圧が西へ進んでいます(図3)。

図3 予想天気図(左は9月4日9時、右は5日9時の予想)
図3 予想天気図(左は9月4日9時、右は5日9時の予想)

 この熱帯低気圧は、ハワイの南海上から西進し、日付変更線を越えてやってきたものです。

 途中、衰弱することもなく、かといって発達することもなく西進してきたのですが、ここへきて、発達の可能性も出てきました。

 熱帯低気圧として西へ進んでいますが、このあと、台風15号に発達して日本の南海上に達するかもしれません。

 台風13号が南シナ海を北上したあと、台風14号から変わった熱帯低気圧が北上させた雨雲が南シナ海から南西諸島を通って東シナ海に入ってきそうです。

 そして、そのあとには、ハワイの南海上で発生した熱帯低気圧が台風15号に発達し、日本に上陸する構えを見せるかもしれません(図4)。

図4 台風13号等の雨と風の分布予報(9月6日21時)
図4 台風13号等の雨と風の分布予報(9月6日21時)

その後も

 現在、日本の南海上には、いくつもの雲の渦ができては消え、またできてを繰り返しています。

 9月3日15時の段階では、太平洋西部熱帯域には、4つの雲の渦ができています(タイトル画像参照)。

 西から台風14号の雲の渦、台風15号の渦で、一番東がハワイの南海上からやってきた熱帯低気圧の雲の渦です。

 そして、それらの雲の渦の間、グアム島の南海上にも雲の渦があります。

 この雲の渦が発達して、熱帯低気圧になるかどうか、あるいは、この雲の渦は消滅し、近くで新しい渦が発生して、それが発達して熱帯低気圧になるかどうかはわかりませんが、台風まで発生する可能性もあります。

 まだ予報できる段階ではないのですが、過去9月に大災害をもたらした台風の発生海域は、グアム島近海か、グアム島の南海上です。

 油断できない海域での雲の渦です。

発生初期の予報誤差

 台風13号のように、ある程度まで台風が発達すると、予報誤差は小さくなります。

 しかし、台風14号のように発生したばかりの台風や熱帯低気圧は、予報が不安定で、コロコロ変わりがちです。

 台風14号の予報を見ると、8月31日21時に今後24時間以内に台風になるとの予報が気象庁から発表されましが、実際に台風14号になったのは9月3日3時で、発生海域はトンキン湾です。

 そして、この時の進路予報は、西進を続けてインドシナ半島に上陸をして熱帯低気圧に変わるというものでした。

 しかし、台風14号は、発生直後から進路を東に変え、発生12時間後の9月3日15時の進路予報は、5日後に台湾海峡を通って東シナ海に入るというものでした(実際は発生18時間後の3日21時に熱帯低気圧に変化)。

 台風13号が北上してきますので、沖縄をはじめ、西日本の太平洋側の地方では警戒が必要ですが、台風13号を皮切りに台風ラッシュになりそうな気配です。

 ただ、台風13号に続く熱帯低気圧や台風の予想については、現段階では非常に難しいことから、常に最新の情報入手に努めてください。

タイトル画像、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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