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春の嵐と沖縄の走り梅雨

饒村曜気象予報士
予想天気図(4月14日21時の予想)

==日本海低気圧==

 平成31年(2019年)4月14日(日)3時現在、黄海に低気圧があり、この低気圧に伴う雲が日本海に入りつつあります(図1)。

図1 日本海に入りつつある低気圧の雲(4月14日3時)
図1 日本海に入りつつある低気圧の雲(4月14日3時)

 この段階では、低気圧には前線がついていませんが、日本海に入って発達し、寒冷前線や温暖前線がはっきりしてきてから日本を通過します(タイトル画像参照)。

 今後、日本海の低気圧に向かって、暖かくて湿った空気が日本列島に流入しますので、大気が不安定となり、ほぼ全国的に強い風が吹き、局地的な豪雨と落雷の恐れがあります(図2)。

図2 日曜日夜の雨と風(4月14日21時)
図2 日曜日夜の雨と風(4月14日21時)

 特に寒冷前線が通過する頃が大荒れとなり、要注意です。

 日本海の低気圧は、北海道に近づく頃から動きが遅くなり、15日(月)の日中に北海道を通過するため、週明けの北日本から西日本では、強風の影響が続く見込みです。

 最高気温は北日本を中心に平年より高くなる見込みで、低気圧が通過する北海道では、山の一部を除いて雪ではなく雨が降るでしょう。

 春は北からの冬の寒気が残っているところに、南から夏の暖気が入ってくることが多く、日本付近で低気圧が発達しやすいという特徴があります。

 2月の「春一番」に始まって5月の「メイストーム」まで、春は嵐の季節です。発達した低気圧による暴風に注意が必要です。

 そして、春の嵐に対する暴風に注意が必要なくなったときは、初夏の梅雨による雨に警戒の季節となり、それが終わると、夏の台風に対して警戒する時期に入ります。

 つまり、日本列島は、形を変えるものの、自然災害が発生しやすい状態が一年中続きます。

沖縄の走り梅雨

 各地の10日間予報を見ると、4月14日の低気圧が通過後は晴れの日が多いのですが、沖縄地方だけは、停滞前線が発生しやすくなることから、雨や曇りの日が続きます(図3)。

図3 各地の10日間予報
図3 各地の10日間予報

 那覇や宮古島など、沖縄地方は、走り梅雨の気配になってきました。

 梅雨の統計がある昭和26年(1951年)以降、沖縄の梅雨入りは5月上旬から5月中旬で、4月に梅雨入りしたのは、全体の約7%(68年のうち5年)しかありません(図4)。

沖縄地方の4月の梅雨入り

昭和31年(1956年)4月28日

昭和55年(1980年)4月20日

平成 8年(1996年)4月29日

平成10年(1998年)4月25日

平成23年(2011年)4月30日

図4 沖縄の梅雨入り
図4 沖縄の梅雨入り

 ちなみに、6月の梅雨入りは、全体の約3%です。

沖縄地方の6月の梅雨入り

昭和38年(1963年)6月4日

平成30年(2018年)6月1日

 沖縄地方の梅雨入りの平年(昭和56年~平成22年(1981年~2010年)の平均)は5月9日です。

 4月14日現在、沖縄付近にある停滞前線は、前線上に発生した低気圧の東進とともに、一旦消えますので、過去最速の4月20日より前に梅雨入りということはないとは思いますが、まもなく沖縄が梅雨入りです。

 そして、沖縄の梅雨入りの約1ヶ月後、西日本から東日本でも梅雨入りになります。

タイトル画像の出典:気象庁ホームページ。

図1、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図4の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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