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四国まで梅雨入り 関東甲信の梅雨入りは記録的に遅くなる可能性あり

饒村曜気象予報士
雨の中、カラフルな傘をさす日本人女性(写真:イメージマート)

四国で梅雨入り

 令和6年(2024年)6月9日は、日本の南岸を低気圧が通過し、西日本の太平洋側を中心にまとまった雨がありました(図1)。

図1 南岸低気圧が通過した6月9日15時の地上天気図と衛星画像
図1 南岸低気圧が通過した6月9日15時の地上天気図と衛星画像

 このため、気象庁は四国が平年より4日遅く梅雨入りしたと見られるという発表しました。

 前日の九州南部の梅雨入りに続く梅雨入りですが、これまで梅雨入りしている地方は、すべて平年より遅い梅雨入りです(表)。

 また、九州北部・中国・近畿・東海・関東甲信も、9月9日までに梅雨入りしていないことから、遅い梅雨入りが確定しています。

 とはいえ、四国の梅雨入りは、梅雨前線が北上しての梅雨入りするという典型的なものではなく、南岸低気圧の通過により雨の日が多くなってきたという梅雨入りです。

 このため、南岸低気圧が通過したあとは梅雨前線が南に下がり、梅雨入りしたばかりの四国は、早くも梅雨の中休みに入る可能性があります(図2)。

図2 予想天気図(6月10日9時の予想)
図2 予想天気図(6月10日9時の予想)

 これは、夏の主役の太平洋高気圧の勢力が弱いために、梅雨前線がなかなか北上してこないためで、九州南部・四国に続いて梅雨に入る地方はしばらくなさそうです。

 また、太平洋高気圧が北上してこないということは、大陸育ちの乾燥した高気圧に覆われ、晴れて気温が上昇しすることとなります。

 ここちよい暑さですが、太陽高度が高く紫外線が一番強い時期ですので、長時間屋外にいて多量の紫外線をあびがちですので、注意してください。

関東甲信地方の梅雨入りは

 沖縄・奄美地方は、近年、梅雨入りが遅れる傾向にあり、令和6年(2024年)も遅れました。

 しかし、その他の地方では梅雨入りが顕著に遅れるという傾向はでていません。

 梅雨入りの平年は、関東甲信地方では6月7日ですが、今年、令和6年(2024年)は、しばらく晴天の所が多く、梅雨入りはなさそうですので、各地ともかなり遅い梅雨入りの年になりそうです。

 昭和26年(1951年)から昨年までの73年間で、関東甲信地方で梅雨入りが一番多かったのは6月上旬の後半(6日から10日)ですが、令和13年(2001年)以降に限っても、6月上旬の後半が一番多くなっています(図3)。

図3 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図3 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 関東甲信地方で、梅雨入りが一番遅かったのは、平成19年(2007年)の6月22日ですが、今年はこれより遅くなる可能性があります。

 ウェザーマップが発表している10日間予報によると、那覇では、来週になると晴れの日が続くようになり、沖縄・奄美地方の梅雨明けが視野にはってくる可能性があります(図4)。

図4 各地の10日間予報(数字は最高気温)
図4 各地の10日間予報(数字は最高気温)

 多くの年は、沖縄・奄美地方が梅雨明けになる頃、九州から関東甲信地方が梅雨入りとなるのですが、今年は、鹿児島は雨の日が多い予報ですが、その他は晴れの日が多くなっており、なかなか梅雨入りのタイミングがはかれない予報となっています。

 雨の日が増えてはいますが、晴れの日も多く、梅雨入りを担当する予報官泣かせの天気となっています。

図1、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図2、表の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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