Yahoo!ニュース

今年初の猛暑日は福島県 全国の3分の1が真夏日で、梅雨が来ないうちに夏が来るというという感じ

饒村曜気象予報士
熱中症で水分補給するシニア男性(提供:イメージマート)

梅雨入り前の暑さ

 今年、令和6年(2024年)は、沖縄・奄美・九州南部・四国で梅雨入りしていますが、各地とも平年より遅い梅雨入りでした。

 また、6月12日までに九州北部から東北南部まで梅雨入りしていませんので、平年より遅い梅雨入りが確定しています(表)。

表 令和6年(2024年)の梅雨入り
表 令和6年(2024年)の梅雨入り

 東北北部もしばらくは梅雨入りしそうもありませんので、今年、令和6年(2024年)は、梅雨がないとされる北海道を除いて、全国で遅い梅雨入りになりそうです。

 6月12日は、前線が大きく南に下がり、南西諸島~九州南部以外は、晴れて気温が高くなりました(図1)。

図1 沖縄本島付近から小笠原諸島にのびる前線の雲と西日本から東日本に広がる晴天域(6月12日12時)
図1 沖縄本島付近から小笠原諸島にのびる前線の雲と西日本から東日本に広がる晴天域(6月12日12時)

 今年の夏の特徴として、夏の主役の太平洋高気圧の勢力が弱いために、前線がなかなか北上してきません。

 ただ、太平洋高気圧が弱くても、大陸からの高気圧におおわれることが多く、強い日射等で、春先から気温が高い状態が続き、ときおり、季節外れの暑さとなっています。

 そして、6月12日も晴れて気温が上がった所が多く、最も気温が高かったのは福島県伊達市・梁川の35.2度で、今年、全国初の最高気温35度以上の猛暑日となりました。

 また、東京都心で今年初めて最高気温が30.1度となるなど、最高気温が30度以上の真夏日は326地点(気温を観測している全国914地点の約36パーセント)、最高気温が25度以上の夏日となったのは825地点(約90パーセント)となっています(図2)。

図2 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(6月13日以降は予想)
図2 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(6月13日以降は予想)

 真夏日、夏日、ともに今年最多となり、多くの所で、梅雨が来ないうちに夏が来たという感じとなりました。

 この厳しい暑さは、6月13日から14日にかけても続く見込みです(図3)。

図3 最高気温予報の分布(上は6月13日、下は6月14日の予報)
図3 最高気温予報の分布(上は6月13日、下は6月14日の予報)

 6月13日と14日の夏日は、ともに6月12日にわずかに及びませんが、6月14日の真夏日は355地点(約39パーセント)と今年最多となる見込みです。

 引き続き、紫外線と熱中症に注意が必要です。

東京の梅雨入りはいつ?

 昭和26年(1951年)から昨年までの73年間で、関東甲信地方で梅雨入りが一番多かったのは6月上旬の後半(6日から10日)ですが、平成13年(2001年)以降に限っても、6月上旬の後半が一番多くなっています(図4)。

図4 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図4 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 関東甲信地方で、梅雨入りが一番遅かったのは、平成19年(2007年)の6月22日です。

 ウェザーマップは16日先までの天気予報を発表していますが、これによると、東京では、信頼度が低いDやEが多く含まれる予報ですが、6月17日まで白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)とお日様マーク(晴れ)が、その後、6月20日まではお日様マーク(晴れ)と黒雲マーク(雨の可能性がある曇)があるあります(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 梅雨入りの平年は、関東甲信地方では6月7日ですが、東京の16日先までの予報をみると、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)や傘マーク(雨)が続かない6月21日くらいまでは梅雨入りがなさそうです。

 関東甲信地方の梅雨入りは今週末の雨と、そのあとに晴れの期間が長いかどうかにかかっています。

 現時点では、関東甲信地方は、6月15日から16日にかけて本州の南岸を低気圧が通過することで週末に雨になったあと、16日は前線が南に下がる予想です(図6)。

図6 風と雨の分布予想(6月16日9時の予想)
図6 風と雨の分布予想(6月16日9時の予想)

 もし、前線が南に大きく下がらず、6月17日の天気予報が雨に変われば、今週末の梅雨入りの可能性がありますが、それでも平年より約10日遅い梅雨入りとなります。

 そして、今週末に梅雨入りをしないと、これまでの最遅記録である6月22日に迫った梅雨入りとなる可能性があります。

 ただ、関東甲信地方の梅雨入りが遅くなる、あるいは、梅雨期間が短くなるといっても、降水量が少なくなるとは一概に言えません。

 関東甲信地方で遅い梅雨入りだった1位から4位を調べると、そのうち4つまでは梅雨期間の雨量が平年より多くなっています。

関東甲信地方の遅い梅雨入り(1位から6位)
1位 6月22日(2007年)(梅雨期間降水量:111パーセント)
   6月22日(1967年)(梅雨期間降水量:86パーセント)
3位 6月19日(1960年)(梅雨期間降水量:52パーセント)
4位 6月17日(1999年)(梅雨期間降水量:124パーセント)
   6月17日(1982年)(梅雨期間降水量:101パーセント)
   6月17日(1969年)(梅雨期間降水量:113パーセント) 

 過去には、梅雨入りが遅かったり、梅雨期間が短かったりしても、短期集中型の雨によって、梅雨期に大きな災害が発生したこともあります。

 引き続き、最新の気象情報に注意してください。

図1、図3、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事