天気に左右されない選挙を イギリスのEU離脱を決めた低気圧

古地図(写真:アフロ)

統一地方選挙

 今年、平成31年(2019年)は、4年に1回行われる統一地方選挙の年です。

 選挙民の負担を軽くするため、地方公共団体の選挙日程を全国的に統一して行う統一地方選挙は、3月21日(木)の知事選の告示で始まりました。

 3月24日(日)の政令市長選の告示、3月29日(金)の道府県議選・政令市議選の告示と続き、4月7日(日)が前半の投票日です。

 その後、4月14日(日)に市区長選・市区議選の告示、4月16日(火)に町村長選、町村議選の告示と続いて、4月21日(日)が後半の投票日です。

 選挙の度に、投票日の天気と投票率の関係が取り沙汰されます。

 天気が曇りであれば投票率が高くなって浮動票の多い政党に有利になる。あるいは、雨が降って寒くなった場合や、晴れて行楽日和になった場合は、投票率が低くなって組織票の多い政党に有利になるなどです。

 近年は投票率の低下などから、天気と投票率との関係が薄れていますが、天気によって選挙結果が違ってくることがなくなったわけではありません。

 最近も、選挙制度のお手本の国・イギリスで、天気のせいで選挙結果が大きく変わったと言われました。

イギリスのEU離脱

 イギリスは、法的には平成31年(2019年)3月29日にEUを離脱する予定となっています。

 イギリスのメイ首相は、短期間の離脱延期を申し出る見通しですが、離脱合意案の議会承認ができない状態です。また、離脱延期にはEU全27カ国の合意を得る必要があります。

 このように、混乱が続いているイギリスのEU離脱問題ですが、出発点は、3年前の平成28年(2016年)6月23日に行われた「イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票」です。

 その国民投票の結果、EU残留が48.11パーセント、EU離脱が51.89パーセントと、接戦でしたが、EU離脱が多数派となりました。

 このときに言われたのが、国民投票の日に、低気圧による雨がなければ投票率は高くなり、選挙結果は違っていたということでした。

イギリス国民投票日の雨

 平成28年(2016年)6月23日のイギリスの天気は、ロンドンなどの大都市がある南部のイングランドやウェールズは雨でした。

 これは、低気圧がフランス北部を東進したことによる雨で、低気圧から遠い北部のスコットランドや北アイルランドは曇りか晴れでした(図)。

図 平成28年(2016年)6月23日の昼頃の地上天気図
図 平成28年(2016年)6月23日の昼頃の地上天気図

 ロンドンは悪天候 投票率は?

 まもなく、国民投票が終了し、このあと、調査会社によるリサーチ結果が公表される。ロンドンは雨が降ったりやんだりで、投票率の低下がやや懸念される。朝と夕方にまとまった雨が降り、洪水になる場所もあったという。雨が降ると離脱派に有利だと言われていた。…。ただし、イギリス全体で見ると、曇りか晴れの地域が多く、投票率を押し上げた可能性があるという。

出典:テレビ東京 Newsモーニングサテライト(平成28年(2016年)6月24日)

 国民投票前のイギリスメディアによると、65歳以上の高齢者は6割が離脱・4割が残留であったのに対し、18~24歳は3割が離脱・7割が残留など、年齢が低いほど残留が優勢でした。そして、「関心の高さから投票率は8割を超え、残留が優勢」というものでした。

 しかし、実際の投票率は72.21パーセントと8割には届きませんでした。

 離脱派の多い北部では投票率が伸びたものの、残留派が多い南部での投票率が伸びなかったためです。

 また、事前の世論調査で劣勢を伝えられた離脱派の高齢者が雨でも投票に行ったのに対し、優勢を伝えられた残留派の若者が雨で棄権したなどという分析もあります。

 計算上ですが、もし、投票率が8割にあがり、あがった投票の75%が残留ということであれば、結果は逆転していました。

 国民投票結果はイギリスでのことであり、論評する立場にはありませし、その力もありませんが、「天気に左右された」と言われたことは、事実関係はともあれ、選挙制度のお手本の国として残念に思います。

 ましてや、「民意を反映していないので国民投票のやり直し」という意見が出ていることは論外と思います。

 選挙は投票結果が民意です。

 「天気が投票結果に影響した」と言われないように、統一地方選挙は天気にかかわらず、投票することが大事です。

 投票日が忙しいなら期日前投票をする方法もあります。

図の出典:気象庁資料をもとに著者作成。