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強い寒気南下と「春一番もどき」、そして再び寒気南下

饒村曜気象予報士
南下した寒気による雲(1月26日21時)

強い寒気の南下と「春一番もどき」

 日本列島に非常に強い寒気が南下し、西高東低の冬型の気圧配置が強まって、東日本から西日本の日本海側を中心に大雪となっています。

 また、関東の南岸で発生し、横浜などで初雪を降らせた小さな低気圧は関東の東海上に去り、日本付近の天気は、日本海側で雨や雪、太平洋側で晴れと二分しています(タイトル画像参照)。

 今冬は、強い寒気の南下は北日本中心で、西日本から東日本の広い範囲で南下してきたのは今冬初めてです。

 大雪の目安とされるのが、上空5500メートルの気温が氷点下36度ですが、東日本の太平洋側から西日本北部まで南下してきました。

 このため、東日本から西日本の日本海側を中心に大雪となったのですが、上空の寒気の範囲は、当初の予想より若干狭く、しかも早めに日本の東海上に抜けています(図1)。

図1 上空5500メートルの気温(1月27日朝)
図1 上空5500メートルの気温(1月27日朝)

 このため、1月27日(日)の午前中は日本海側の地方では大雪に警戒が必要ですが、次第に西高東低の気圧配置が弱まります。

 そして、週明けの1月28日(月)は、日本海北部で低気圧が発生し、この低気圧に向かって暖気が入ります(図2)。

図2 予想天気図(1月28日9時の予想)
図2 予想天気図(1月28日9時の予想)

 日本海側の地方では、南から暖気が入ることから、降水現象は雪ではなく雨主体に変わり、日本海側を中心として強い風が吹く予想です(図3)。

図3 月曜日(1月28日)の全国の天気予報
図3 月曜日(1月28日)の全国の天気予報

 「立春以降で、日本海北部で低気圧が発達し、強い南風で気温があがる」ことが春一番の定義ですので、あと一週間遅く、2月4日の立春以降で、強い風が吹けば「春一番」の可能性がありました(図4)。つまり、今回は「春一番もどき」です。

図4 週明けの南よりの暖気(1月28日9時)
図4 週明けの南よりの暖気(1月28日9時)

再び寒気南下

 来週は「春一番もどき」の天気からスタートしますが、「春一番もどき」をもたらす低気圧は、足早に北海道を通過し、北海道の東海上で発達します。

 このため、日本列島には再び強い寒気が南下し、西高東低の冬型の気圧配置となります。

 ただ、この時の強い寒気の南下は、北日本と東日本への南下であり、西日本へは南下しません(図5)。

図5 1月28日夜の上空約5500メートルの気温
図5 1月28日夜の上空約5500メートルの気温

 また、2月1日に南下する寒気も、上空約5500メートルで氷点下42度という非常に強い寒気が北海道に南下してきますが、西日本に南下してくるのは、氷点下30度の寒気です(図6)。

図6 2月1日朝の上空約5500メートルの気温
図6 2月1日朝の上空約5500メートルの気温

 西日本や沖縄・奄美地方は、しばらくは強い寒気が南下しない見込みですので、平年より気温が高い2月となりそうです。

タイトル画像、図1、図3、図4、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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