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冬型の気圧配置が続き、週末には特に強い寒気南下

饒村曜気象予報士
地上天気図と気象衛星画像(1月21日6時)

「九九消寒」と「大寒」

 中国のならわしに「九九消寒」というものがあります。

 冬至の日(12月22日)から9日ずつ数えてゆくもので、最初の「一九(いっく)」が、12月22日から12月30日までです。

 「二九」は12月31日から9日間と続き、「三九」、「四九」と寒さが増し、1月27日からの「五九」、「六九」で寒さが頂点に達します。

 最後の「九九」は3月4日からの9日間です。

 「九九」が終わると、長かった冬が終わります。

 「九九消寒」では、長い冬が過ぎるのを待つのに、5枚の花びらを持つ梅の花を16個と1枚の計81枚を白抜きで描いた九九消寒図を用意し、冬至の日から、花びらを1日1枚塗りつぶしてゆくことが行われました。81枚の花びらを塗り終わると満開の梅が完成します。

 また、梅の花の他に、9画の文字を9個並べて春にふさわしい短文、例えば、

「庭前垂柳珍重待春風(総画数が81の言葉)」を、白抜き文字で書いたものを用意し、毎日その1画ずつを塗りつぶしてゆくことが行われました。

 まさに、指折り数えて春を待っていたわけです。

 なお、二十四節気では、一年で一番寒いとされるのが「大寒(1月20日から2月3日)」で、「九九消寒」でいうと、「五九」およびその前後ということができます。

 今年、平成31年(2019年)は、中国のならわしのように、「五九」で、一番寒い季節に入りそうです。 

冬型の気圧配置

 日本列島は、週明けからしばらく西高東低の冬型の気圧配置が続きます。

 3日周期ぐらいの周期で、強い寒気が南下してきますので、冬型の気圧配置が強まったり、弱まったりしますが、基本的には、日本海側では雪、太平洋側では晴れの日が続きます(図1)。

図1 各地の週間天気予報
図1 各地の週間天気予報

 気温は各地で平年の冬並みに寒くなります。

 上空約5000メートルで氷点下36度というのが大雪の目安、氷点下30度というのが強い寒気の目安ですが、現在、北海道には氷点下42度という寒気が入っています(図2)。

図2 週の初めの寒気
図2 週の初めの寒気

 今年は、このように北海道までは非常に強い寒気が南下するのですが、強い割には、氷点下30度線は北日本までしか南下しないことが多く、寒いと言っていも、東日本では平年並み、西日本では平年より気温が高い寒さでした。

 週の半ばの寒気も同じです(図3)。

図3 週の半ばの寒気
図3 週の半ばの寒気

 ただ、週末の寒気は違います。

週末の寒気は西日本も

 週末の寒気は、大きく南下してきます(図4)。

図4 週末の寒気
図4 週末の寒気

 上空約5500メートルで、大雪の目安よりも低い、氷点下39度という寒気が関東北部から西日本の日本海側まで南下し、「五九」に合わせたかのように全国的に寒くなります。

 福岡や広島で最高気温が9度など、西日本でも最高気温が一桁となる予想です。

 これだけの寒気が南下すると、日本海側の地方では、大雪の恐れがあります。

 それも、雪が降り積もっていた上での大雪ですので、厳重な警戒が必要です。

 ただ、「六九」になると、二十四節気の「立春」です。

 「立春」は光の春と言われているように、寒いのですが、日差しが長くなり始めたことを感じることができます。

 そして、「七九」「八九」と暖かい春に向かってゆきます。

タイトル画像、図1、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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