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「小寒」に強い寒気の南下

饒村曜気象予報士
冬 小寒 雉始鳴(提供:アフロ)

寒の入り

 暦の上では1月6日は「小寒」、寒気がようやく強くなる頃です。この日から寒の入りに入ります。

 「年賀状」を出し忘れた人は、年賀状ではなく、「寒中見舞い」を出すことになります。

 2週間後の1月20日が「大寒」で寒さが最も厳しくなる頃で、2月4日の「立春」まで、寒さが続くというのが暦の上の話です。

 しかし、西高東低の冬型の気圧配置が強まり、北海道の上空約5500メートルには氷点下36度以下と、大雪の目安の気温となるほどの強い寒気がはいっています(図1)。

図1 地上天気図と衛星画像(1月5日21時)
図1 地上天気図と衛星画像(1月5日21時)

 このため、新千歳空港では、短時間強雪で欠航が相次ぎ、Uターン客を直撃しています(図2)。

図2 千歳における風速と降雪量、積雪量
図2 千歳における風速と降雪量、積雪量

 アメダスによると千歳では、夕方から10メートル前後の強い風が吹き、18時までの1時間に8センチという強い雪が降っています。このため、滑走路の除雪が間に合わず、欠航につながっています。

 ただ、1月5日の降雪量は合計24センチに達していますが、日降水量(雪を溶かして雨量に換算した量)の観測は4.5ミリにすぎません。

 湿った雪であれば、日降水量が4.5ミリなら降雪量は5センチ程度ですので、非常に乾いた、日降水量の割には、降雪量の多い雪(ふわふわした雪)ということがわかります。

一旦弱まっても

 冬型の気圧配置は次第に弱まり、同じ西高東低の冬型の気圧配置でも、等圧線の間隔が広く、寒気の南下が弱いものになります(図3)。

図3 予想天気図(1月7日9時の予想)
図3 予想天気図(1月7日9時の予想)

 1月6日の予想降雪量は、多い所でも20センチ以下です(図4)。

図4 予想降雪量(1月6日0時から7日0時)
図4 予想降雪量(1月6日0時から7日0時)

 しかし、1月8日には再び強い寒気が南下してきます(図5)。そして、西高東低の冬型の気圧配置が強まります。

図5 日本上空約5500メートルの気温(1月8日夜)
図5 日本上空約5500メートルの気温(1月8日夜)

 寒さが一時和らぐのは週末になりそうです。

寒四郎と寒九

 寒に入って4日目のことを「寒四郎」といいます。

 この日の天候が麦の収穫に影響があるとされています。晴れれば豊作と言われています。

 寒に入って9日目のことを「寒九」といいます。

 この日の雨は「寒九の雨」と呼ばれ、薬として珍重されたり、豊饒の兆しとして喜んだといわれています。

 各地の10日間予報をみると、寒四郎はどちらかといえば晴れのところが多く、麦は豊作ということになります。

 ただ、寒九の雨(14日の雨)は、現時点の予報ではなさそうです(図6)。

図6 各地の10日予報
図6 各地の10日予報

図1、図4、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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