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本格的な寒さはどこに

饒村曜気象予報士
下鴨神社糺の森と馬車(ペイレスイメージズ/アフロ)

暖かい晩秋

 日本列島は東西に連なるっている高気圧に覆われて、北海道から九州の広い範囲で晴れるところが多くなっています(図1)。

図1 地上天気図(11月4日3時)
図1 地上天気図(11月4日3時)

 ただ、前線が停滞している南西諸島と高気圧と高気圧の間に入っている東日本太平洋側では、南から暖湿気流が流入して大気が不安定となり、落雷や突風、短時間強雨に注意が必要な日曜日となっています。

 今冬一番の冷え込みをもたらした寒気は、日本の東海上に去りました。

 といっても、それまで暖かい日が続いていましたので、今冬一番といっても、平年並みの寒気でしたが、それが去ったことで、今週は気温が平年より高くなります。

 例えば、東京の週間天気予報によると、今の季節の最高気温は18度くらいですが、20~23度、予報の幅を考えると最高気温が25度以上という夏日の可能性もあるという予報です。

 今の季節の最低気温は10度くらいですが、5~6度も高い予報です(図2)。

図2 東京の週間天気予報
図2 東京の週間天気予報

 今週は、曇りがちな一週間ですが、気温が上がり、本格的な寒さの訪れはもう少し先となります。

10月初旬の夏から暖かい秋へ

 東京では、記録的な猛暑に続いて暑い秋となりましたが、10月中旬には平年並みの気温の秋となっています。

 しかし、10月中旬以降は、気温があまり下がらず、ほぼ10月中旬の気温が続いていますので、晩秋としては暖かい気温となっています(図3)。

図3 東京の最高気温と最低気温の推移(10月1日以降)
図3 東京の最高気温と最低気温の推移(10月1日以降)

 東京だけでなく、一般的に、気温は徐々に寒くなるのではなく、階段状に寒くなる傾向があります。

 次の寒気が南下したときに気温が大きく下降して、その後横ばいというのを繰り返しながら冬に向かってゆきます。

 ただ、今年はまだ、次にくる寒気が見当たりません。

暖かい11月

 気象庁が11月1日に発表した11月の予報では、特に注意を要する事項として、北日本・東日本・西日本の11月前半は気温がかなり高くなっています(図4)。

図4 一ヶ月予報
図4 一ヶ月予報

 これは、全国的に暖かい空気に覆われやすいためで、気温が高くなる確率は80%というのは、季節予報では、まず見ることができないほどの高い確率です。

 

 本格的な寒さはいつからか、と言っているうちに12月がきそうです。

図1の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図4の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁資料を基に著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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