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強い寒気南下 大気不安定は寒気の強さより上下の温度差

饒村曜気象予報士
冬の日本海(ペイレスイメージズ/アフロ)

今冬一番の寒気

 北日本から東日本の広い範囲では、上空約5500メートル上空で、平年より5~8度低い、氷点下18度から氷点下21度以下という、今冬一番の寒気が南下しています(図1)。

図1 日本に南下している上空約5500メートルの寒気(2018年10月19日朝)
図1 日本に南下している上空約5500メートルの寒気(2018年10月19日朝)

 このため、朝を中心に冷え込み、10月19日朝の冷え込みでは、今季最低気温を記録したのは、気温を観測している全国927地点の約4分の1にあたる229地点もありました。

 上空に寒気が入ると、大気が不安定となって積乱雲が発達します。

 上空約5500メートル上空で氷点下18度から氷点下21度以下という寒気は、真冬に比べれば、強い寒気ではありませんが、下層がまだ暖かいときの寒気です。

 北陸沖から山陰沖の海面水温は21度以上もありますので、上下の温度差は40度を超えました(図2)。

図2 日別海面水温(2018年10月18日)
図2 日別海面水温(2018年10月18日)

 このため、大気が非常に不安定となって積乱雲が大きく発達し、各地で落雷や記録的な短時間大雨、竜巻などが発生しました。

記録的短時間大雨情報

10月18日7時10分 島根県・隠岐の島町付近で約100ミリ

10月19日10時0分 石川県・珠洲市付近で約100ミリ

竜巻注意情報(一部)

10月18日17時17分 鳥取県東部に「目撃情報あり」付きで発表。

10月18日17時27分 兵庫県北部に発表。

10月18日17時29分 岡山県全域に発表。

10月19日 0時52分 島根県隠岐に発表。

10月19日 5時26分 石川県能登に発表。

10月19日13時38分 富山県西部に発表。

10月19日14時26分 愛知県西部に発表。 

10月19日14時26分 岐阜県美濃に発表。

 季節が進み、地表面付近の温度が下がると、氷点下18度の寒気が入ったくらいでは大気が不安定にはなりません。

 今の季節で注目する温度は、上空約5500メートルで氷点下18度、あるいは氷点下21度ですが、真冬で注目するのはもっと低い温度、例えば、「氷点下36度(大雪の目安)」や「氷点下42度(豪雪の目安)」となります。

週末は大きな移動性高気圧に

 今冬一番の寒気が通過した後の週末は、大陸から大きな移動性高気圧がでてきます(図3)。

図3 予想天気図(左20日(土)9時、右21日(日)9時)
図3 予想天気図(左20日(土)9時、右21日(日)9時)

 このため、10月20日(土)は北陸や東北地方、関東の一部で雨が残るものの、翌21日(日)は、久しぶりに全国的な晴れとなります(図4)。

図4 10月21日(日)の天気予報
図4 10月21日(日)の天気予報

 しかし、それも束の間です。

 週の半ばには、本州の南岸に前線ができて再び雨となります(図5)。

図5 週間天気予報(気象庁発表)
図5 週間天気予報(気象庁発表)

図1の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図3、図4、図5の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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