東北・北陸で豪雨 台風15号に向かっていた暖湿気流が東北の前線へ
続く暖湿気流の流入
日本の南海上にある水蒸気を多量に含んだ空気が、台風や熱帯低気圧の北上に伴って、太平洋高気圧の周りを北上するという気圧配置は長く持続しています。
図1は、8月15日9時の地上天気図ですが、中国の遼東半島にある熱帯低気圧は、沖縄県先島諸島を通って中国大陸に上陸した台風14号から変わったもので、沖縄本島付近にある熱帯低気圧は、その後台風18号になって東シナ海を中国大陸に向かいました(図1)。
そして、九州を縦断中なのは台風15号で、宮崎県日向市付近に8月15日3時前に上陸したものです。台風15号は、九州地方を北上して玄界灘を抜け、15日21時には対馬海峡で熱帯低気圧に変わり、その後、消滅しました。
台風15号の消滅により、日本付近に流入を続けている暖湿気流に変化が生じました。
暖湿気流は、台風15号に向かい、主として西日本に流入していたのですが、東北地方に停滞している前線へ向かうようになりました(図2)。図2で、湿のマークがある発達した積乱雲は、台風15号が持ち込んだ多量の水蒸気によるものです。
この時期としては冷たい寒気の南下
東北地方のある前線の北側には、この時期としては強い寒気が南下中です(図3)。
上空5000メートルで、氷点下15度以下という寒気は、標高が2000メートルの北海道・大雪山においては気温が5度前後と、雪が降ってもおかしくない寒気です。
タイトル画像は8月16日12時の静止気象衛星「ひまわり」の画像ですが、日本海には冬場の寒気の吹き出しに伴うような雲を見ることができます。
この寒気に向かって暖湿気流が流入するのですから、前線付近の東北地方や北陸地方では豪雨に厳重な警戒が必要です。
気象庁では、今年から詳細な雨量分布予報をこれまでの6時間先から、15時間先までに延長しています。
図4は、今朝発表の「今後の雨(降水短時間予報)」という予報ですが、夜遅くまでの15時間の詳細な雨量分布が予想されています(図4)。
その中で、15時付近では、雨域の分布が東西に延びる前線に対応するものに、南から北上しているものがぶつかって「Tの字」の形を予想しています。このようなときは、気流が合流して豪雨の可能性が高いことを示しています。
図1、図4の出典:気象庁ホームページ。
タイトル画像、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。